じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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ミーアキャット。北九州・到津の森公園にて2016年12月撮影。↓の記事参照。
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【思ったこと】 170810(木)ミーアキャットの群れの不思議 NHK総合で8月6日に放送された、 ダーウィンが来た!「第517回「ミーアキャット 母と娘のオキテ」 を録画再生で視た。 ミーアキャットが群れで生活していることは知っていたが、どういう構成になっているのか、どの程度の絆で結ばれているのか、近親相姦をどうやって避けるのか、といったことはこれまで関心を向けたことが無かった。 今回の番組によると、ミーアキャットの群れは、母親と父親、未婚の娘たちによって構成されているようであった。興味深いのは、母親はもっぱら出産のみで、その子育てをするのは未婚の娘たちであった。娘たちは、妊娠経験が無いにもかかわらずお乳を出すことができる。要するに、後から生まれた子どもたちは、お姉さんのお乳を吸って成長する。さらには、(2本足とシッポをつかって直立する、ミーアキャット独特の)監視行動や餌探しや外敵の侵入から群れを守る行動でも、娘たちが先頭に立つ。 番組ではもう1つ、群れの中で中心的な役割を担ってきた「長女」が、群れに接近してきた別のオスと接触をした途端に、母親から「勘当」されて、群れから追い出さてしまうこと、しかしながら、妊娠・出産に至らなかった場合は、再び群れに受け入れられるようになった様子が伝えられていた。 この「ダーウィンが来た」は、これまでも、不必要に擬人的な説明を使う点が気になってはいたが、上記の「母と娘のオキテ」は進化生物学的にもまことに興味深い内容であると感じた。 こうした独特の群れ構成は、外敵が多く、かつ食料の少ない過酷な環境のもとで定着したものであろう。番組では「オキテ」という擬人的な表現を使っていたが、おそらく、雌が発情したり妊娠したりすると特有のホルモンが分泌され、その匂いによって排他的な行動(=自分の群れから追い出す)が起こりやすくなるものと推測される。「長女」が群れから追い出されたのはその特殊な匂いのせいであり、放浪を経て再び群れに迎え入れられたのは単にその匂いが消えたためと考えられる。 今回の番組では、父親、あるいはオスの役割がイマイチよく分からなかった。おそらく、ニホンザルの群れと同様、オスは一定年齢を過ぎると群れから追い出され(もしくは勝手に離脱し)、放浪生活ののちに群れに近づき、その中のメスを連れ出すか、群れの優位オスに勝利して新しい群れを再構成するものと思われる。いずれにせよ、群れの優位メスが出産年齢を終えた時点で、群れは再構成されていくであろう。 なお、ウィキペディアでは、「ペアもしくは家族群で生活し、複数の家族群が一緒に生活することもある。」と引用されており、食料事情や季節(雨期と乾期の違い)によって、番組で紹介されたのとは異なる「オキテ」が支配する群れもありうるかもしれない。 余談だが、J-STAGEで公開されている論文の中に、 長谷川(1982).食物選択における学習の役割 というのがあり、その中でミーアキャット(論文中では「ミアキャット」と表記)に言及したことがあった。但し、私が引用した元の論文では母親が子どもに餌を与えるというように記されており、姉による授乳や子育てのことは一切触れられたいなかった。ま、35年も前の論文なので、その時点ではまだまだ生態がよく分かっていなかったということでお許しいただこうと思う。 |