じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 170905(火)ボーム『行動主義を理解する』(70)言語行動と言葉(7) 昨日に続いて、 ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社. の話題。 翻訳書188頁からは「よく見られる誤解」というタイトルのもとに、言語行動と他のオペラント行動の類似点、相違点について、本書の見解が示されている。概要は、
まず、言語の生成的特徴とは、これまで語ったことのないような発話が生成されるという点である。もっとも、他のオペラント行動でも、再現性のない新しい行動が発せられることはある。言語行動の構造的規則性についても、他の行動、例えばレバー押しの手順にも見られるとしている。このあたりは、関係フレーム理論の考え方とはかなり異なっている。【昨年5月に関連記事あり。】 2.については、行動分析学では「メタ発言」として扱われている。語りそのものが弁別刺激となりその制御を受ける言語行動である。言語自己報告も、自分自身の行動が弁別刺激となって生じる言語行動であり、このことは、ライトが弁別刺激となってレバーを押す行動と同じであるとしている。 3.については、
私的出来事の扱いもそうだが、本書の立場は、心理主義に陥らず、また行動主義のレベルにおいても新しい概念はできるだけ増やさないという点で徹底しているように見える。但し1.については、子どもが言葉を覚え使いこなす際の飛躍的なスピードをうまく説明できるのかどうか、また3.については、将来の不安や恐怖を強化履歴だけで説明できるのか(強化履歴上は全く無関係であるはずの対象にも不安をいだくのはなぜか)といった問題が残るように思う。 次回に続く。 |