じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 毎年この時期に半田山中腹に現れるイエローバンド(黄葉樹林の帯)。まもなく見頃を迎えそうだ。写真右は、2009年11月30日撮影。


2017年11月20日(月)


【思ったこと】
171120(月)五木寛之『孤独のすすめ』(11)若者と高齢者の間の「階級闘争」?

 11月19日の続き。

 第4章は、“「世代」から「階級」へ”というタイトルとなっている。 この連載の冒頭でも述べたが、この第4章あたりからは、本書のタイトルである「孤独のすすめ」や個人レベルでの「人生後半の生き方」についての言及は殆どなくなり、現代日本における高齢者の社会的役割を論じたような内容が中心となる。本書がもともと『嫌老社会を超えて』(中央公論社)を再構成したためであり、販売戦略上、『孤独のすすめ』というタイトルがつけられたためではないかと推測される。なお、高齢者の孤独について本格的に論じた御著書としては、別に、『孤独の力』などがある。

元の話題に戻るが、第4章の冒頭では、まさにこれから「本格的な嫌老社会」が訪れ、より先鋭化した“嫌われる老人社会″に充満する可能性がある、と論じられている。そこでは、高齢者と下の世代との利害対立は、「世代間の対立」を通り越して「階級闘争」に発展しかねない問題かもしれないと述べられていた。

 昨日の述べたように、私自身は、若者と高齢者の間の「階級闘争」については懐疑的である。昨日も述べたように、若者とか高齢者といった区分は、人種や民族や階級ではなく、同じ人間の中の年齢的変化であること、利害的対立は家族単位で生じるものであることなどが主たる理由である。

 さらに、高齢者は医療・介護の面で恩恵を受けているように記されているが、最近では高齢者自身の負担もかなりの重い額となっている。私自身もまもなく、国民健康保険料を払い込む必要があり、また先日、65歳以上の介護保険料の引き落としの通知があった。定年退職の年は前年の現役時代の所得が反映することもあって、どうやら受け取れる国民年金(老齢基礎年金)を上回る額を負担しなければならない模様である。実際に病気になれば医療費もかかるし、固定資産税やマンション管理費、駐車場代、車の維持費(車検、自動車税、任意保険)なども加えると、厚生年金分も半分くらいは持って行かれそう。もちろん世間には、富裕高齢者もおられるとは思うが、それらの人たちの生活ぶりが高齢者の標準というわけでは決して無い。また、家族が不仲でない限りは、富裕高齢者の子どもや孫たちも富裕な生活をしているはずであって、階級対立には至らないように思われる。

次回に続く。