【思ったこと】 171209(土)ふるさと納税初体験
12月に入ってから、何カ所かの自治体に「ふるさと納税」の寄附をしている。「ふるさと納税」がお得だという話は何年か前から耳にしていたが、実際に寄附をしたのは今回が初めてであった。
私は毎年確定申告をしているが、これは所得税に限ったものであり、住民税のほうは6月頃に職場から転送されてくる計算書に基づいて給与から天引きされているため、住民税の控除の仕組みは全く理解できていなかった。しかし、定年退職を来年にひかえて、年金生活後の住民税にも気を配らざるを得なくなり、ふるさと納税がなぜお得になるのかということが、やっとのことで理解できるようになった。
これまで「ふるさと納税」に無関心であったのは、寄附をすることで所得の控除があっても、寄付金額分が丸々戻ることはあり得ないと思い込んでいたためであった。例えば税率20%の人が、10万円の寄附をすると、課税される所得が10万円分減るので、その分に課税されるはずだった2万円は確かに戻ってくる。住民税(県と市町村)も税率10%分が戻るので、おおむね3万円は戻るが、寄附のために10万円を支払っているので差し引き7万円分は損するはずだ、というのが私の思い込みであった。
しかし、今回、関連サイトを詳しく閲覧してみると、ふるさと納税は以下の仕組みに基づくものであることが理解できた。
- まず、控除には、所得控除と税額控除がある。所得控除は所得合計額に適用する控除なので、控除分だけ所得が減るので結果的に税金は安くなる。いっぽう、税額控除は、いったん算出された所得税額から、税額がまるまる控除される。
- 従来、税額控除は政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除などに限られていた。
- 特定寄附金による控除とは、国や地方公共団体への寄附(ふるさと納税も含まれる)、大学などの学校法人への寄附も含まれる。(子弟が入学する際の寄附は含まれない。) この場合の控除は所得控除であり、寄附金合計額マイナス2000円となる。例えば、所得500万円の人が10万円の寄附をすると、控除後の所得額は490万2000円となる。課税額が減るといっても、10万円を寄附しているわけだから、当然、(「寄附金額」マイナス「控除による課税減少分」として)手元に残る収入額は寄附をしなかった場合よりも減る。
- ふるさと納税の場合も、確定申告をすれば、上記(3)と同じ計算式により、所得税額は減額される。
- ふるさと納税では、住民税に対して、2通りの形で税額控除がなされる。
【その1】個人住民税の寄附金控除:(寄附金額マイナス2000円)×10%
【その2】個人住民税の寄附金控除の特例:住民税所得割額の20%を限度に、寄附金から2000円を差し引いた金額にαを乗した金額が税額控除される。
- 上記【その2】のαの値は、おおむね、100%マイナス所得税率マイナス10%となっている。(例えば、所得500万円の場合、所得税率20%、α=約70%なので合計90%、所得1000万円の場合は所得税率33%、α=56.3%なので89.3%。) ということで、所得税額軽減分と、【その1】、【その2】を合計すると100%になるゆえ、一定限度額内であれば寄附金額マイナス2000円分が減税になるというしくみ。
以上の理解が正しいとすれば、住民税を納税している人であれば、一定の限度額(おおむね、住民税所得割の20%程度)以内であれば、2000円の負担だけで、寄付金額相当の住民税分が丸々軽減され、くわえて、寄付金額の概ね3割程度の返礼品を受け取ることができるはずである。
では、この仕組みで損をするのは誰かということになる。
- 納税者は、2000円の負担だけで種々の返礼品を受け取れるので、目先の利益としては得をすることになる。
- 寄附を受けた自治体は、返礼品のコストを除いた寄附金分が収入となるため大いに潤う。また、返礼品の生産によって地場産業を活性化できるメリットがある。
- 納税者が住んでいる自治体では、その納税者に対する税額控除が行われるため、税収が減ってしまうことになる。結果的に当該自治体の福祉政策にもネガティブな影響を及ぼす恐れがあり、長期的に見れば、税収減は、寄附を行った納税者自身の生活にも跳ね返ってくる。
ということであり、長期的に見れば、自分の住んでいる自治体から受けるサービスが低下する恐れもありそう。
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