じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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岡大構内のアンズの花が見頃になっている。梅の花が終わりソメイヨシノが咲き始めるまでのこの時期を彩る。写真は理学部の仁科芳雄先生像裏にある樹だが、文法経東側にある樹も全く同じタイミングで開花している。日が当たる時間はそれぞれ異なっているにもかかわらず、開花のタイミングが揃うのは不思議である。気温のファクターが決定因になっているのだろうか。 |
【思ったこと】 180315(木)第23回人間行動分析研究会(4)ニューロフィードバック 昨日の続き。 4番目は、実験参加者自身が脳波をコントロールするという、興味深い実験研究の報告であった。実験では、「脳波の変化を知覚可能な視覚刺激や聴覚刺激として実験参加者へフィードバック」し、「プログラムされた閾値を超えると音や画像等の強化刺激が参加者へ提示される」というニューロフィードバックが行われた。こうした「条件づけ」によって、特定の脳波(周波数帯)の振幅を増加または減少させることが可能になれば、高齢者の認知機能向上や認知症予防に繋がると期待される。 発表ではまず、頭皮レベルで測定される脳波というのがどういうしくみで発せられるのかについて簡単な説明が行われた。モニター画面の画像の隠蔽部分が剥がされて画像全体が見えてくるというような変化が強化刺激として用いられた。 この実験は、参加者が自発する反応(ここでは特定周波数帯の脳波発出)に対して結果を随伴させるという、オペラント条件づけと同一の手続がとられている点が興味深い。もっとも、特定の脳波というのは、何らかのオペラント行動のもとで結果として発生している可能性がある。例えば、実験中、参加者が自分で勝手にしりとりをしたり、特定の数から3つずつ引き算をするといった「脳内作業」をすれば、当然α波が多く出るようになる。α波が出た時に強化刺激が呈示されるという手続は、実際には、しりとりや暗算をすることが強化されただけであり、脳波はその結果指標にすぎないことになる。私が学生・院生の頃は、バイオフィードバックの応用が話題になっていたが、生理的反応の扱いはなかなか難しいという印象を受けた。 なお、今回の発表では、「頭頂正中部におけるアルファ波(8Hz-13Hz)の振幅を強化、シータ波(4Hz-8Hz)とベータ波(15−32Hz)の振幅を抑制する」という条件づけが行われていたが、シータ波を抑制することが本当に高齢者の認知機能向上や認知症予防につながるのかについては更なる根拠が必要であるように思われた。私が高校生に聞きかじった知識によれば、シータ波はヨガや座禅の瞑想の際に発生すると言われており、いまでも、少々胡散臭いスピリチュアル系のサイトなどでシータ波の意義が強調されていたりする。いま流行のマインドフルネスでも、シータ波が多く出るようになることのほうが良いと書かれている記事もある。ただし、マインドフルネスの場合も、言語反応や動作を通じて一定の状態を作ろうとしているのであって、脳波自体のコントロールは目ざしていない。 次回に続く。 |