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【小さな話題】 栗城史多さんご逝去 各種報道によれば、5月21日、登山家の栗城史多(くりき のぶかず)さんが、エベレストで遭難し死亡された。 栗城さんについては、お名前だけであるが、このWeb日記でも二度ほど取り上げさせていただいたことがあった。 このほか、2011年10月22日に、NHKの課外授業 ようこそ先輩でも「“一歩を越える勇気”を」で登場されていた。 その後、アンテナに登録させていただき、次の挑戦に期待させていただいた時があったが、2012年5月のチャレンジ時に凍傷で両手指9本を切断された後の動静は存じ上げていなかった。あれだけの凍傷になったことで、従来の挑戦スタイルを方向転換し、山登りの楽しさを伝えるようなお仕事をされているのかと勝手に思い込んでいたが、実際は2014年にブロード・ピーク登頂、さらに2015年以降は毎年、エベレスト登山に挑戦されていたということを今回初めて知った。 リンク先にも記されているように、栗城さんが目ざしていた「単独」や「無酸素」についてはいろいろな定義や疑問があるようだ。いちばんの疑問は、「単独」や「無酸素」にこだわることがそれほど重要なのかという点である。そして、こちらでも指摘されているように、より大きな問題は、栗城さんご自身が追い込まれてしまい、功を焦って無理をしてしまうという可能性であった。 私自身は登山については全くの素人であり(←5000メートル以上の高所に7回ほど訪れたことはあるが)、今回の登山計画に無理があったのか、想定外の不運による事故であったのかは口をはさむことはできない。あくまで一般論として、仮にAさんが難易度の高い山の登頂をめざしたとする。この場合、登頂が成功するかどうかは、まずは気象条件、そして、Aさん自身の体調、その他の偶発的な要因に左右される。仮に7回続けて失敗したとしても、運がよければ8回目に成功するかもしれない。しかしそれはあくまで好条件が揃ったというだけのことであって、7回の経験の蓄積や改善、努力に基づく成功とは言い難い。亡くなった方に対して、結果だけからあれこれ批判することは極力控えるべきであるとは思うが、今回の8回目のチャレンジに、過去の失敗経験が活かされていたのかどうかは検証する必要があるとは思う。 |