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日曜日の夕刻、NHK総合で大相撲中継をやっていた。今回の名古屋場所は旅行時期と重なり、中継を観る機会が全くなかった。旅行中一度だけWi-Fiで取組結果を見たことがあったが、横綱の名前がどこにもなく、表示ミスではないかと思ったが、じつは、3横綱と大関・栃ノ心が早々と休場していたためであることが判明した。 なお、岡山地域では、平成30年7月豪雨から2週間経った今も、逆L字型画面による被災者支援情報が表示されていた。今回の災害の深刻さが伝わってくる。 |
【小さな話題】 点灯行動と消灯行動の行動原理 7月20日放送の NHK総合 チコちゃんに叱られる! の終わりのところで、電気の点灯と消灯が、ボタンを押すという同じ動作でありながら全く違う行動原理によって生じているという話題を取り上げていた。【こちらに詳細記事あり。】 番組では、行動分析学会の重鎮、杉山尚子先生による、
というように、行動を起こす理由が根本から違っているので、電気を消し忘れる人がいるのは当然のことだ、という説明が紹介されていた。 一般視聴者対象ということで、「随伴性」とか「強化の原理」といった専門用語は避けられていたが、ここでいう行動原理とは、それぞれの行動がどのように強化されているのかということを意味している。 ここで念のため確認させていただくが、ボタンを押すたびに点灯と消灯が切り替わるon-off型ボタンの場合、点灯行動と消灯行動の頻度は同数となる。点灯行動が強化されやすく、消灯行動が強化されにくいからといって頻度が変わるわけではない。電気の点けっぱなしが問題視されるのは、あくまで、 ●点けておく必要がない文脈(点けておくと電気が消費され無駄になる文脈)において、消灯行動が起こらない ことを言っているのである。 点灯行動は強化されやすいと言われるが、昼間、照明の必要としない部屋で点灯をする人はいない。点灯行動が強化されるのはあくまで、暗くて、行動に制約を受ける場面に限られている。 暗い部屋でボタンを押して点灯するという行動は、その直後に、室内を自由に歩き回ったり、室内の特定の場所から必要なモノを取り出したり、文字を読んだりといった様々な行動が可能になることで強化される。 いっぽう、部屋を出る時に消灯するという行動は、(すでに部屋から外に出ているので)その人にとってプラスになるような何の変化ももたらさない。但し、消灯行動が強化されるような場面も無いわけではない。ホタルの見物や星空観察のために歩いている人は、目的地に着いた時点で懐中電灯を消灯するであろう。 ということで、点灯行動、消灯行動は、それぞれ単に強化されやすいとかされにくいといった強化の原理によるものではなくて、特定の文脈に依存して生じていると考えるべきであろう。 番組では、外出時に部屋の照明を点けっぱなしにする人の事例にも言及されていた。帰宅時に室内が真っ暗であると恐怖を感じる人、あるいは(点灯する前に)室内の家具などにぶつかって不便だという人は、当然、照明を点けっぱなしにしておくであろう。これまた強化・弱化の原理で充分に説明できる。 昨今、LED照明の普及により、照明を点けっぱなしても、従来ほどには消費電力がかからなくなってきており、点けっぱなしが問題視されることは少なくなってきているようにも思える。また、点けっぱなしが火災発生の危険を招くような家電も、大部分は一定時間後(または一定の温度を超えた時に)自動offになる機能がついており、人間の側が行動を変える必要はなくなりつつある。とはいえ、海外旅行先などでは自動off機能の無い家電を使うこともあるし、すべての照明がLEDというわけではないので、この問題は引き続き注視していく必要がありそう。 |