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【小さな話題】 北海道の地震で、電力供給体制の脆弱さに驚く 9月6日の早朝、いつものようにテレビの電源を入れると、北海道の地震のニュースをやっていた。朝の時点では最大震度6強と伝えられていたが、その後、震度7に訂正された。北海道で震度7を観測したのは今回が初めてであるという。またこの地震は「北海道胆振東部地震」と命名された。 この地震では、震源に近い厚真町では、広範囲にわたり山崩れ(山体崩壊?)が起こり、生き埋めになった人の救出作業が続いている。このほか、札幌市内でも液状化現象による道路陥没や家屋の倒壊が起こっているという。 特に驚いたのは、地震発生直後、道内全域で停電となり、ほぼ全世帯の295万戸、鉄道や空港、学校、店舗、工場、倉庫、自家発電設備が不十分な病院などにも深刻な影響を与えた点であった。 伝え聞いたところでは、この大規模停電は、震源に近い苫東厚真火力発電所が地震により運転停止となったことで発生した。素朴に考えると、道内にはいくつも発電所があり、たった1カ所が運転停止になったからといって、このような大規模停電にはつながらないように思われた。しかし、実際の電力供給というのは、高度なバランスを必要とするらしい。各種報道によると、家庭などで使う電気は、発電所から一定の周波数で送られており、そのためには電気を使う量と、発電する量のバランスを保つ必要がある。ところが、道内の半分の電力を補給していた苫東厚真火力発電所が運転を停止すると、他の発電所だけでは一定の周波数が保てなくなる。「火力発電所は大きな周波数変動が起こると自分が壊れないように自分で【運転を】止めてしまう」という、「ブラックアウト」という現象が連鎖的に起こる。 もっとも、こうした「ブラックアウト」は過去にも類似例があり、理論的にも予測できたはずだ。専門的なことは分からないが、今後の大規模地震や想定外の事故に備えて、しっかりした対応をとらなければならない。 「インターネット」の発想もそうだが、電力供給のような基幹設備は、単にコスト削減をめざすだけでなく、1カ所で何らかの事故が発生した時に、無傷の他施設からすぐに支援が受けられるような相互の補償体制を作っておく必要がある。 それにしても、今の時代は、何でもかんでも電気に頼りすぎているところがある。今回の大規模停電でも、スマホの充電のために長蛇の列ができたといったニュースがあった。万が一大規模停電になった時に、どういう手段で生き延びるか、個人レベルでも日頃から対策をとったほうがよいかもしれない。 |