じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 昨日に続いて、明け方の南東の空の話題。金星が刻々と移動しているため、1月25日朝には、金星、木星、アンタレスがほぼ一直線に並んだ。2日前と比較すると移動の様子がよく分かる。

2019年1月25日(金)



【連載】

関係反応と関係フレームをどう説明するか(24)「関係フレーム」とは何か?(12) いろいろな関係フレーム(7)Opposition(2)

 まず、昨日の日記で、「比較軸があれば方向があり、直線上の方向は必ず2種類あると言うことができるだろう。」と述べた点について補足しておく。

 数学や物理学の厳密な定義[]は別として、言語行動としての「向き」は必ずしも直線を前提とはしていない。例えば、時計回りと反時計回りは「反対の向き」と言えるが、特定方向を示しているわけではない。くねくね道を運行するバスは、往路と復路は「反対向きに進む」と言われる。言語行動は習得されたものであるゆえ、さまざまな体験を通じて、同じような機能を持つ事象についての反応が般化したり分化する中で「向き」や「方向」という関係フレームが成立したと考えるべきであろう。
ウィキペディアの該当項目では、「向き」や「方向」は以下のように説明されている。
数学における方向(ほうこう)とは、2つの向き(むき)を合わせた表現。向き(むき)を空間上の位置を極座標で表したとき、数値が持つ距離以外の情報である。向きと大きさを持つベクトルから、大きさを取り去った残りの情報と言ってもよい。
【中略】
なお、物理においては、方向とは、上下方向、左右方向などのように単に直線の状態を意味するが、これに対して向きとは、下向き、右向きなどのように、ある始点から一方へ向かっての進行を意味するときに用いる。「地球の重力は、鉛直方向にはたらいており、向きは下向きである」などのように、方向と向きを使い分ける。


 もとの話に戻るが、RFTのパープルブック(36頁)では、複合的相互的内包(複合的内包)においては、「反対Opposition」と等位のフレームが相互に内包される事例に言及されている。例えば、「hot」が「freezing」の反対であり、「cold」が「hot」の反対であるなら、「cold」と「freezing」は同じというような事例である。(日本語では、気温の高低を表す「暑い」、「寒い」と、モノを触ったり飲んだりするときの感覚に関する「熱い」、「冷たい」が区別されているので、気温の高低だけに限定しないと「同じ」とは言えないかもしれない。)

 ちなみに、「反対」「等位」の関係フレームにおける複合的相互的内包は、あくまで同一の文脈(比較軸)を前提としている。例えば、
  • 赤の反対は白である(紅白の対照)
  • 赤の反対は青である(交通信号。実際の青信号は緑色ではあるが)
だからといって、白と青は同じということにはならない。
 私自身は、小中学生の頃、国語のテストや反対語を答えるクイズなどで、本当にそれが反対語になるのか疑問に思ったことがたびたびあった。ネットで検索したところWeblio対義語・反対語辞書というのがあったが、慣習上これが反対語(対義語)だと言われても、なかなか納得できない事例が少なくない。
  • →「憎」が反対語になっているが、「愛さない」からといって必ずしも憎んでいるわけではあるまい。
  • →「畑・畠」が反対語になっているが、都市近郊であれば「住宅地」、山間部であれば「山林」が反対語になるように思う。
  • 退屈→「熱中」が反対語になっているが、「多忙」ということもありうる。
  • 晩婚→「早婚」が反対語となっているが、最近では生涯非婚という選択肢もある。

 結局、文脈(比較軸、対照軸)を明示せずに「次の反対語は何ですか?」と尋ねても正解などあるはずがない。私が国語のテストに不満を持ったのもそんな点にあったのではないかと思われる。

次回に続く。