Copyright(C)長谷川芳典 |
岡大構内の雪だるまは、私の知っている限りでは2箇所を除いて完全に消滅した。写真上は津島東キャンパスの陸上競技場脇、写真下は教育学部中庭。 |
【連載】 関係反応と関係フレームをどう説明するか(41)「関係フレーム」とは何か?(29) Temporal Relations(1) 昨日の続き。 パープルブックでは「Hierarchical Relation」に続いて2.4.6.「時間関係(Temporal Relations)」が取り上げられている。 この節ではまず、時間関係フレームと比較関係フレームの基本的特徴が同一であること、しかしながらこれらは区別して扱う価値があると論じられている。 ここで、時間関係と比較関係が基本的に同じというのは、要するに、「A>B」から「B<A」、あるいは「A>B」と「B>C」から「C<A」などが派生されるという点で共通の特徴があるということであろう。確かに、「>」は「より大きい」、「より重い」、「より上にある」というような比較関係においても、「先に起こった」というような時間関係においても同じ向きで派生されるという点で共通している。 しかし、これら二者は、両方とも重要なフレームであるということと、恣意的な関係をあてはめる際の物理次元に固有の性質があるという点で別々に扱う価値があるという。 パープルブックによれば、「時間」というのは単なる一方通行の変化の流れに過ぎない。「いま」の次には「新しいいま」、「この」の次には「新しいこの」が続く、「新しいこの」から「古いこの」に戻ることはない。 「次元」と呼ばれる直線軸の上に過去と現在と未来を配置することは、比較フレームにおいて大きさの軸上に「小さな箱、中くらいの箱、大きい箱」を配置することは同じではない。 パープルブックで指摘されているように、言葉を使わない動物たちは時間関係に非常に敏感であり、実際、強化の随伴性は、先行事象とオペラント反応と結果という3者の時間関係から成り立っている。しかし、時間に関する関係反応というのはきわめて言語的な反応であるといって間違いない。上掲の例のような、大きさの違う3つの箱が目の前にある場合は、どれでも自由に手を触れることができるし、大きい順を小さい順に並べ替えることもできる。これに対して、過去、現在、未来という3者は目の前にあるものではない。目の前にあるのは常にとどまることなく流れていく現在のみにすぎない。 歴史の試験問題のように、過去に起こった出来事を年代順に並べるというだけであれば、比較フレームとほとんど変わらないであろうが、いまの自分を起点として過去や将来を比較するという場合は視点取得の問題がかかわらざるをえない。 不定期ながら次回に続く。 |