じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 映画「3月のライオン」の気になる喫煙シーン。↓の記事参照。



2019年2月18日(月)



【小さな話題】
映画「3月のライオン」の気になる喫煙シーン/将棋棋士の喫煙

 2月4日と2月11日にNHK-BSシネマで放送された3月のライオン前後編を録画再生で少しずつ観ていたが、2月17日にやっと完了。将棋棋士のひたむきな人生を描いた名作であり、実際の棋譜が殆ど出てこないなかで将棋を全く知らない人でも感動できる内容になっていた点は凄いと思った。

 しかしながら、1つ気になったのは各所で見られた喫煙シーンであった。上の写真はその中からピックアップしたものである(これ以外にもいくつか顔を顰めたくなるようなシーンがあった)。
  • 左上2枚。主人公・桐山零と対戦した棋士が投了直前にタバコを吸い始めるシーン。煙が桐山の顔にかかっていた。
  • 左下2枚。将棋会館館内での喫煙シーン。未成年棋士も若い女性もみな受動喫煙状態。
  • 右上3枚。将棋連盟会長と思われる人物の喫煙シーン。トップが喫煙していると誰も文句を言えないという点ではパワハラ喫煙。最高の人格者であるべき会長がこんな状態では情けない。
  • 右下。将棋会館出入口付近の路上での若手棋士の喫煙。棋士仲間や会館を出入りする人たちに受動喫煙の被害あり。

 せっかくの名作なのに、これらの喫煙シーンはヒドイ。登場人物の人格評価を下げるばかりであって、喫煙シーンを入れる必然性は全くないように思う。(この映画が受動喫煙被害を告発する意図を持っているなら話は別だが。)

 念のためネットで「3月のライオン 喫煙シーン」で検索したところ、この映画は2017年 汚れた灰皿賞(モクモク賞)をちゃんと受賞していた。私と同じようなことを考える人は他にもおられるようになる。




 ここからは将棋棋士の喫煙の話題に移るが、棋士とタバコと言えば、私が真っ先に浮かぶのが升田幸三・実力制第四代名人花村元司・九段である。

 升田幸三氏の喫煙に関してはウィキペディアのエピソード項目にも、
  • ヘビースモーカーでもあり、一日に200本も吸ったといわれる。
  • 生涯のライバル:大山康晴との対局について、王将戦の記録係を務めた内藤國雄はこう語っている。「升田さんはタバコを吸い、大きな灰皿に花びらのようにポーンポーンと吸殻を並べていくんですね。
といった記述がある。升田幸三氏は73歳でお亡くなりになった。ネットで調べたところ死因は「心不全」のようだが、喫煙が寿命を縮めたことは間違いあるまい。

 もうお一人の花村元司・九段についてはこちらの記事で、弟子の森下卓氏が、
「師匠はものすごいヘビースモーカーだったんです。どのくらいかというと、自宅から将棋会館まで、電車で行くと禁煙で耐えられないから、タクシーを使っていたくらいです」
と語っておられたのが目にとまった。花村元司氏は67歳でお亡くなりになっている。ネットで検索したところ、死因は「がん→呼吸不全」となっていたが、升田幸三氏同様、喫煙が寿命を縮めたことは間違いない。

 このお二人に限らないが、喫煙は対局相手にも受動喫煙の被害をもたらす。非喫煙者の棋士であっても、対局中に煙を浴びることでCOPDになることも充分に考えられる。将棋連盟としても将棋棋士の禁煙支援についてしっかり取り組んでもらいたいところである。

 ちなみに、ネットで調べた限りでは、2014年の時点では、対局中の喫煙は禁止されていないという情報があった。全く信じられないことだが、1つの背景には日本たばこ産業が棋戦主催者になっているという事情があるという説もある。また、この種の組織では、幹部が喫煙をしていたり、喫煙擁護論を唱えていると、若手棋士や女流棋士から全面禁煙化を訴えにくいという事情があるようにも思える。

 なお、多くの専門家が指摘しているように、タバコの有害物質は肺の中に残留するため、喫煙後しばらくの時間は、呼気を通して対外に排出される(さらに衣服にも付着している)。それゆえ、例えば、対局の途中に席を立って喫煙所でタバコを吸ったとしても、戻った直後には対局室で有害有毒な煙を吐き出しつづけることになるため、対局相手や立会人はみな受動喫煙の被害を受けることになる。最近では対局中のスマホの携行は厳しくチェックされるようになったと聞くが、喫煙についても、対局室での禁煙は当然であるとして、喫煙者が席を立って喫煙した場合であっても、席に戻る前に呼気の検査を徹底し、ニコチンなどの有害有毒物質が一定基準以下になるまでは入室を認めないといった徹底措置をとる必要がある(そのあいだの時間は当然、喫煙棋士の持ち時間から差し引かれる)。