【連載】
又吉直樹のヘウレーカ!「宝の石ってどんな石?」/「“狭い空間”でも居心地よくなりますか?」
昨日に続いて、NHKで水曜日夜に放送されている「又吉直樹のヘウレーカ!」の意見と感想。
- 「宝の石ってどんな石?」【2019年2月20日初回放送】
中学生の時は地学(地学、天文、気象)のクラブに入っていたこともあり、興味深く拝見した。特に印象に残ったのは、地球の歴史を1年に喩えると、
- 地球の誕生: 1月1日
- 最古の岩石生成: 2月17日
- 最古の生物化石?: 3月27日
- 恐竜の繁栄と絶滅: 12月11日〜26日
- 人類の出現:12月31日午後8時12分
となって、地球上に人類が出現したのはごくわずかな時間に過ぎないということであった。しかも、一人の人間の一生を寿命80とすると、地球の歴史を1年に喩えたスケールの上ではわずか0.548秒という瞬間にすぎないという点。
こうしてみると、領土争い、土地の私有、先祖代々などといった考えはバカバカしくなってくる。
なお、別の番組や、このヘウレーカ!の別の回などで、地球外生命体の話が取り上げられることがあるが、仮にはるか彼方の太陽以外の恒星の周りを回る惑星に天体に知的生命体が存在したとしても、上記の「12月31日午後8時12分」を見ると、その知的生命体が繁栄していた時期が人類の繁栄時期にピッタリ重なる確率はきわめて小さいように思われる。
- 「“狭い空間”でも居心地よくなりますか?」【2019年2月27日初回放送】
この回は、南極越冬隊や宇宙ステーション、さらに想定される月や火星などでの長期滞在のもとで、どうすれば人間がストレスを受けずに過ごせるのか、というような話題が取り上げられた。
タイトルではカッコ付きながら「狭い空間」となっていて、登場された解説者も、異色ながら建築学の専門家であったようだが、問題となっているのは、物理的なスペースや建築デザインの問題ではなくて、閉鎖空間のもとでの集団生活、つまり心理学の話題であるように思えた。
砂漠のど真ん中のようなところに人工的に閉鎖空間を作って長期間集団生活をさせるという実験は以前にも聞いたことがあるが、いずれ実現するであろう月や火星の基地ではそこまで閉鎖される可能性は少ないように思われる。通信手段が確保できていれば地球以外の空間でもSNSに参加できるし、遠くの世界の様子をバーチャルに見聞きすることもできるからだ。
インターネットが普及した現代社会では、今ここという空間がどんなに開けていても、ネットが使えない環境では閉じ込められたような気分になることがある。少し前に訪れたチベット旅行中なども、LINEやウィキペディア、グーグルマップなどが全く使えず、壮大なヒマラヤを目の前にしても、閉鎖空間に閉じ込められているような気分になったことがあった。
通信機器の故障や重大な事故などによって長期間、閉鎖空間に隔離状態になることは今後も起こりうるとは思うが、少なくとも、南極の基地や国際宇宙ステーションなどにおいては、「閉鎖空間における居心地の良さの改良」ではなく「閉鎖空間にしないための通信手段の確保や多様なメディアの提供」に研究をシフトしたほうが実用的であるように思われた。
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