じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 各種報道によれば、ホルムズ海峡近くで6月13日朝(日本時間同日昼)、「国華産業」が運航するタンカー「KOKUKA COURAGEOUS」と台湾の石油大手、台湾中油のタンカーが攻撃を受けた。幸い、人的被害は無かった模様。
 私の目にとまったのはKOKUKA COURAGEOUSの船体に大きく記された「NO SMOKING」の表示。火災発生を防止するためにも禁煙を明示することは望ましいとは思う。しかし、これだけ大きな文字で徹底させなければならないというのは、おそらく、船員や作業員のニコチン依存が撲滅できていないためとも考えられる。
 なお、「NO SMOKIG」の下に書かれた 「IMO: 9568495」というのはこの船の船舶識別番号であるようだ。


2019年6月14日(金)



【連載】

又吉直樹のヘウレーカ!「“かわいい”ってどういうこと?」 (1)「かわいい」の研究は、「かわいい」という言葉の使い方の研究なのか、何らかの情動反応の仕組についての研究なのか?

 少し前の放送になるが、4月17日初回放送の又吉直樹のヘウレーカ!

「“かわいい”ってどういうこと?」

という話題を取り上げていた。番組の自体は興味深い内容であったが、心理学の研究の進め方という観点からいろいろ考えさせられることがあった。なぜなら、この種の研究には、
  1. ある形容詞はどのような対象に対して使われやすいか?
  2. ある形容詞に対応していると想定される情動反応は、どのような条件のもとで生じるのか?
という2つのアプローチがあるからである。但し、上記1.は言語学の研究であり、心理学であるなら2.を研究する必要がある。しかし、言葉を使った質問調査で2.の研究がどこまで可能なのかという問題が生じる恐れがある。

 番組では、大学生を2群に分けて、「ぬいぐるみ」、「赤ちゃん」、「犬」など、かわいいと言われる93項目に対して、1つのグループには「どのくらいかわいいか」、もう1つのグループには「どのくらい幼いか」を5段階で評価してもらうという調査研究が紹介されていた。その結果、「かわいさ」の評価と「幼さ」は一定の相関を示しているが、かわいさの評定のうち「幼さ」で説明できるのは1/4であったという。また、かわいさと幼さの評定がいずれも最も低いのは「人体模型」、いずれも高いのは「赤ちゃん」、また「かわいい」の評価が最も高かったのは「笑顔」であったが、「笑顔」に対する幼さの評価は低かったという。

 以上の結果は、実感としては納得できるものではあるが、番組を拝聴した限りでは、この調査研究では、提示されたのはあくまで言葉であり、実物のぬいぐるみや赤ちゃんの写真を見せて評定をしてもらったわけでは無かったようである。とすると、「どのくらいかわいいか」と質問されたとしても、回答者は、
  1. その言葉に対して、「かわいい」という形容詞を使うことはどの程度妥当であるのかを評定する。
  2. その言葉に対して回答者個人は実物を思い描き、そのイメージに対してどの程度「かわいい」という情動反応が生じたのかを評定する。
という異なった評定をしている可能性、もしくは2通りを適当に合成して評定している可能性がある。

 こうした問題は、突き詰めていけば、スキナーが言う「私的出来事(私的事象)の言語報告」に関係してくる。

 次回に続く。