じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 大学構内を運転中、カマキリが闖入していることに気づいた。なぜ入り込んできたのかは不明。おそらく、私の背中についていたのであろう。

2019年8月3日(土)



【連載】

チコちゃんに叱られる!「宿帳の利用目的」、「地図で北が上になった経緯」

 8月3日放送【岡山地方では8月2日の放送はなかった】のNHK「チコちゃんに叱られる!」の話題。この回は、
  1. 宿帳を書くのはなぜ?
  2. なんで地図は北が上?
  3. 「日本一短い川は?」
  4. 「日本一の落差の滝は?」
  5. なんで鉄はサビるの?
という5つの疑問が取り上げられた。本日はこのうちの1.と2.について取り上げる。

 まず、宿帳の記載であるが、旅館業法の第6条には、
宿泊者名簿の設置(第6条)
  営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、当該職員の要求があつたときは、これを提出しなければならない。
 宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。
と記されている。もっとも、会員制度のあるホテルチェーンでは、会員カード提示を提示すれば、自分の名前と電話番号程度の記入でOKだったと思う。職業欄については、記入欄としては存在しているが、初めて泊まったホテルでも「住所と名前だけで結構です」と言われるので一度も書いたことがなかったと思う。

 でもって宿帳に記入する理由であるが、番組によれば正解は「感染症の拡大を防ぐため」であり、万が一感染症が発生した場合は、宿帳は保健所に提出され、感染状況を確認する作業が行われることになっているという。

 宿帳(宿泊者名簿)は重要な個人情報であるゆえ、利用目的は厳格に制限する必要があると思われる。ウィキペディアの該当項目によれば、利用目的として、
  • 伝染病や食中毒などが発生した際の追跡
  • 賭博などの違法行為や風紀を乱す行為の防止
が挙げられているものの、法的根拠については確認することができなかった。なお、リンク先によれば、宿帳への不実記載については
拘留又は科料が、旅館業法の刑罰として定められているが、実際に適用された例はほぼない。宿泊者名簿自体は私文書ではないことから、偽名を書いても私文書偽造罪には問われない。ただし、別件逮捕のために利用される例はあり、過去にオウム真理教や過激派関係者を拘束する際に、宿泊者名簿の不実記載が持ち出されたケースがある。
と記されていた。
 宿帳の不実記載の元祖と言えば、おそらく、垣見五郎兵衛を名乗った大石内蔵助であろうが、映画やドラマに出てくるエピソードは史実ではないようだ。




 2.の「なんで地図は北が上?」については、北極星の方向に地図の上部を合わせると(北半球の)航海に役立つというような説明であった。もっとも、大西洋や太平洋での航海では、星の位置ばかりでなく羅針盤も使われていたはずで、北極星があったというだけで「北が上」になったというのは少し無理な説明であるようにも思える。

 ここからはあくまで私の推測になるが、地球はもともと球形であるゆえ、平面図として表すことはできない。そこで、緯度や経度の原点を定めた上で、メルカトル図法などのような2次元化が工夫されることになるが、そのさい、少なくとも、東西方向は垂直方向ではなく水平方向の軸にしたほうが、時差や同じ緯度帯での東西移動距離を測る上で利便性がある。あとは、北を上にするか、南を上にするかの2択となるが、これについての明確な理由は見当たらない。

 ネットで検索したところこちらにかなり詳しい解説があり、それによれば「古代エジプトの地図は「南」が上になっていた"というし、
  • 中世にはほとんどのヨーロッパの地図が「東」を地図の上に持ってきていた。
  • 同時期、アラビア人の地図作製者は「南」を地図の上に持ってきていた。
ということなので、東西南北のどれが上ということはバラバラであったようだ。
 リンク先によれば、
「地図は北を上にする」ということが既成事実になっていったのは16世紀ぐらいのこと。これには2世紀頃に活躍したギリシャ人地図製作者で、地図製作に経度と緯度を加えるというアプローチを考案した人物であるプトレマイオスが深く関わっています。【但し、プロレマイオスがなぜ「上が北」と定めたのかは不明】
とのこと。なので、番組で紹介された「北極星由来」という説は、歴史的変遷の中ではそれほど重要でなかった可能性がある。

 次回に続く。