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8月6日の岡山は台風8号の影響で雨の日となり、合計雨量は16.0ミリとなった。夕刻いったん雨が止んだので、近くの旭川土手までドクターイエロー(のぞみ下り検測)を見物に行った。 |
【連載】 又吉直樹のヘウレーカ!「仕掛学」と行動分析学(2) 昨日に続いて、7月17日放送の又吉直樹のヘウレーカ!「なぜ駅前の放置自転車が急になくなった?」の感想とコメント。 「仕掛学」の創始者のM先生は、もともと工学系出身で、人工知能の研究者を目ざしていたが、学部時代、奇術研究会で種や仕掛けを学ぶうちに、仕掛けに対する興味が強くなったという。人工知能の研究ではデータが必要だが【←ディープラーニングにより学習されるという意味だろう】、街角の問題行動を変えるようなテーマではデータが無く別のアプローチが必要。そこから仕掛学というアイデアが生まれた、というように理解した【←あくまで長谷川の理解による。】 M先生によれば、次の3つの条件を満たすものが「仕掛け」として定義される。
番組の後半では、いくつかの失敗事例や、「傘立てからボクの傘が盗まれる!どうしたらいい?」という課題が提出された。 番組の終わりのほうではさらに、「仕掛け」と「行動変容」との違いについて、次のような説明があった【あくまで長谷川の理解・解釈に基づく】
さて、ここからは私のコメント。 まず、番組で対比的・批判的にに取り上げられていた「行動変容」であるが、これは行動分析学でいう「行動変容」ではなく、むしろモラル向上や法律遵守のスローガンで行動を変えようとする精神主義に近い考え方である。行動分析学における「行動変容」は、
もっとも、ゴミ箱にバスケットゴールを取り付けるという仕掛けが、ポイ捨て防止の最良の対策になるかどうかは疑問が残る。このような仕掛けのある場所では、ポイ捨ての常習犯でも、バスケットゴールにゴミを入れるという行動が強化されることでゴミ箱を利用するようになるだろうが、仕掛けの無い場所では「ゴミを持ち帰る」という行動は全く強化されないので、相変わらずポイ捨てを続けることになるだろう。いっぽう、巨視的な行動主義の立場で言えば、「ゴミをゴミ箱に捨てる」、「ゴミは家に持ち帰る」、「ゴミを減らす」といった行動は、「環境保護行動」というひとくくりの巨視的な行動の一環として強化される。仕掛けの遊び心を利用するよりは、こうした巨視的な行動変容計画に基づいた対策のほうが、長期的には功を奏するように思う。 もう1つ、今回のタイトルの「なぜ駅前の放置自転車が急になくなった?」であるが、子どもが描いた絵を路上にはりつけるという方法が、どこまで普遍性をもつのかは不明である。例えば、岡大の図書館前で大量の迷惑駐輪が問題となったことがあったが、路上に絵を貼りつけても、おそらく効果は全く無いか、あったとしても長続きしないように思われる。【けっきょく、この場所の迷惑駐輪は、巡視員が常駐し、正規の駐輪場への誘導を行うことで解消した。】 商店街の違法駐輪対策なども、あくまで強化子(好子)出現型の随伴性を踏襲するのであれば、まず、商店街の専用駐輪場を無料にした上で、その出入り口で当日限りの割引クーポンを配る、買い物袋が重くて運べない人のためには商店街共通のカート(駐輪場と商店街間の利用自由)を提供する、といった対策をとることのほうが有効であるように思える。 次回に続く。 |