じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 今年は9月上旬に猛暑が続いたせいか、彼岸花の開花が大幅に遅れている。写真は半田山植物園の開花状況【9月23日撮影】。まだ殆どが蕾になっていた。

2019年9月24日(火)



【連載】

チコちゃんに叱られる!「月の兎」、「コク」、「接着剤」、「水族館のサメ」

 旅行中に録り溜めていたチコちゃんに叱られる!のうち、本日は9月13日放送分について考察する。この回は、
  1. なんで月にうさぎがいるの?
  2. コクってなに?
  3. 接着剤は、なんでくっつくの?
  4. なんで水族館のサメは、同じ水槽の魚を食べない?
という4つの疑問が取り上げられた。

 まず1.のウサギの件だが、番組では「うさぎは、自分を犠牲にしてでも人を救おうとする美しい心の持ち主だったから」というジャータカ物語の兎の話が引用されていた。ウィキペディアの該当項目にも同じ仏教説話が引用されており、仏教由来というのは定説になっているようである。
 もっとも、一般庶民がすべて、ジャータカ物語を読んだ上で月面の曖昧図形を兎に見立てるようになったのかどうかは別の問題ではないかと思う。いちばんの理由は、形が兎に似ているからであり、これは冥王星の表面にハート形の地形を見出すのと同様で、説話があろうとなかろうと「似ているからそう見える」というだけのことである。

 余談だが、夜空にはうさぎ座というのもあり、今回の西チベット旅行でも夜明け前に南の空、オリオン座の近くに輝いているのが見えた。このうさぎ座にまつわる神話は至ってシンプルであり物語性はない。外来生物の導入によって自然環境のバランスを崩してはならないという教訓のようなものか。

 次の2.の「コク」については特にコメントすることはない。美味しさは、味覚刺激(味)、嗅覚刺激(香り)、視覚刺激(見た目)、触覚刺激(舌触り、歯触り)などの複合によってもたらされるということか。

 3.の接着剤の話は複雑でイマイチ分からないところがあった。ウィキペディアの該当項目には、
接着のメカニズムには5つ存在するが、接着剤においてはそのうちの3つが主に関わっている(物理的接着・化学的接着・分散接着)。場合によっては拡散接着も関与する。
接着は、まず接着剤が被着材の表面を充分に濡らし、次いで硬化する事で成り立つ。
と記されている。番組で正解とされた「濡れるから」、あるいは、ファンデルワールス力は接着の一要因にはなっているが、それがすべてではあるまい。素朴に考えればやはり、接着剤自体の硬化の力が大きく働いているように思う。水を噴霧するだけで車や窓ガラスなどに貼りつけるようなガラスフィルムは、ファンデルワース力ではなくて大気圧のせいではないかと思うのだが、詳しいしくみは調べていない。

 最後の4.のサメの話はなかなか興味深いものであった。正解は「めんどうくさいから」であり、充分に給餌されている飼育環境下であれば、サメはわざわざエネルギーを消費して他の小魚を追っかけたりしないということで、動物の行動原理にかなっていると言えよう。
 もっともこれがすべての動物に当てはまるかどうかは何とも言えない。飼い猫に充分に餌を与えていても、室内に小動物や昆虫がいれば捕獲しようとするだろう。これは、捕獲行動それ自体が楽しみ(=強化的)になっているからである。人間も同様で、満ち足りた食生活が保障されていてもなお、狩りや釣りを趣味として楽しむ人がいる。

 元の話題に戻るが、水族館でアジやイワシをサメと同居させるのは、アジやイワシが群れになって泳ぐ姿を展示するためだという。そういう仕掛けになっているとは知らなかった。ここからは私の推測になるが、アジやイワシも次第に歳をとるし病気や怪我で弱ることもある。そういう個体はおそらくサメに食べられてしまうのではないかと思う。このことによって結果的に、水槽の中には健康体の小魚だけが泳ぎ回る状態が保たれる。これは、アフリカのサバンナで健康体の草食動物だけが生き残る仕組と同様だ。