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又吉直樹のヘウレーカ! 「あなたは何色に見えますか?」の冒頭で紹介された2色のドレス【写真左側】。↓の記事参照。
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【連載】#又吉直樹のヘウレーカ! 「あなたは何色に見えますか?」(1)人によって違った色に見えるドレス 10月25日に放送された、 又吉直樹のヘウレーカ! 「あなたは何色に見えますか?」 の感想と考察。 この回は、冒頭で、2色のドレスの写真が何色に見えるのかという話題が取り上げられた。私自身はどう見ても「白と金」、解説者の栗木先生も「白と金」、しかし又吉さんは「青と黒」に見えるという。街角の調査では、4割は「白と黄色(金色)」、4割は「青と黒」、2割はその他の色に見えるという結果になっていた。このドレスは2015年ころにSNSで話題になり、テレビで紹介された画像は、解説者の栗木先生が写真をもとに作成したものであるという。ネットで検索したところこちらに関連記事があった。 人によって色の見え方が違うということについては、アフリカに住むヒンバ人の例がある。あくまでテレビの取材であるが、それによるとヒンバ人は
このほか、色の恒常性により色の見え方が変わってくることがある。例えば、バナナとリンゴの描かれた絵が暗闇に置かれていたとする。実際には同じ絵の具で描かれていたとしても、バナナはより黄色っぽく、またリンゴは赤っぽく見えることがある。このように、対象物が曖昧な色であった場合は、文脈に影響されて色の見え方が異なる場合もある。 とはいえ、今回の「2色のドレス」は、街角インタビューを受けた人たちの間で色の見え方が違うという点で衝撃的であった。番組の終わりのところでは、 【写真を見たとき、我々は】どういうシチュエーションで撮られた何色のものかを無意識に想像する。青と黒に見える人は、強い光が当たっていると想像する。白と金に見える人は、日陰の弱い光が当たっていると想像する。おそらくこうだろうと、頭が解釈して勝手に補正してしまう。【長谷川により一部改変あり】というように説明されていたが、「このドレスは日の当たる屋外で撮影されたものです」といった文脈操作が行われていたならともかく、同じ照明条件のもとで違う色に見えるという点で、少々異なった原因があるように思われた。 それにしても、私自身には「白と金色」にしか見えない色が、4割の人はどうして「青と黒」に見えるのか不思議でたまらない。そこで、まず、テレビ画面に映っていたドレスをデジカメで撮影し【上掲の写真左側】、パソコンの画像処理ソフトで、R、G、Bの分析をやってみた。これなら、何色が表示されていたのかが客観的に分かるはずだ。R、G、Bの数値(0〜255)はドレスの模様の場所によってかなり変動したが、一例として、
次に、画像処理ソフトを使って、暗部、中間部、明部のレベル補正をしてみた。
あくまで素人の推測であるが、色の見え方が違ったのは、 ●ドレスが「青と黒」に見える人は、「白と金色」に見えた人に比べて、ぼんやりした色がより鮮やかに見える。もしくは、中間の明るさの光を控えめに受容する。 という感受性の違いが原因ではないかと思われた。いっぽう、番組で説明されたような文脈効果はあまり働いていないように思う。これを確かめるには、ドレスではなくて、単なる縞模様だけで2色の見え方を調べたり、上にも述べたように「このドレスは日の当たる屋外で撮影されたものです」といった文脈操作を行い、個体内でも見え方が変わるのかを検討する必要がある。 次回に続く。 |