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昼頃、時計台前の芝地でメスのツマグロヒョウモンを見かけた【写真左】。前々日にはオスも見かけており【写真右】、どうやら冬になる前に子孫を残せそうな感じだ。こちらの情報によると、ツマグロヒョウモンは成虫越冬をしないので、寒くなると活動できずにそのまま生涯を終える場合があるらしい。ここで飛んでいた蝶たちもあと数日で寿命がつきるかもしれないが、人間と違って蝶たちは先のことを悩んだりしない。元気いっぱいに「いま、ここ」を生きている。 |
【連載】『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』(7)音声言語習得は必須か?/ダーウィンによる縦断研究 11月12日に続いて、 針生先生の『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』の感想。今回から第3章に入る。 第3章は、“「声」から「ことば」へ”というタイトルになっており、冒頭では、 言語を話すためには、聴き取った単語を、自分で言えなければなりません。そしてそのためには、声を自由にあやるつことができなければなりません。 確かに、人間が音声言語を習得するには、聴き取りと発話のスキルを磨くことは必要である。また、人類の歴史を見ても、まずは音声によるコミュニケーションが行われており、文字はずっと後になってから発明されたようである。 もっとも、言語を習得するにあたって、音声のやり取りが必須であるとは私には思えない。耳の聞こえない人でも言葉は使えるし、英語の単語レベルでの発音がネイティブ並みである人が、ネイティブ並みに手紙や報告書を書けるというわけではない。 人間の赤ちゃんが、視覚言語よりも先に音声言語を身につけるのは、音声言語が基盤として必須であるからではなくて、単に、音声言語のほうが学びやすいからではないだろうか。では、なぜ学びやすいのか。主な理由としては、次の2点が挙げられるだろう。
第3章ではまず、生まれたてから1歳までに赤ちゃんがどのように発声を発達させるかについての観察研究が紹介されていた。この研究を行ったのは、かの有名なダーウィンでり、出典は、 Darwin, C. R. 1877. A biographical sketch of an infant. Mind. A Quarterly Review of Psychology and Philosophy, 2, (7) (July), 285-294. となっていた。 この観察研究については、心理学史に詳しい、サトウタツヤ氏によって、2009年の『心理学ワールド 47号』にも紹介されており、観察対象は、ダーウィン自身の長男であった。 ダーウィンと言えば系統発生、というイメージが強いが、個体発生にも強い関心を持っていたことは驚きである。また、現代の心理学の研究は、研究器官が限られていることからどうしても横断的研究に偏りがちであるが、縦断的研究の大切さを示したという点でもダーウィンの功績は偉大であったと言えるだろう。 不定期ながら次回に続く。 |