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【小さな話題】「SNS時間を減らし、読書時間を増やす」:あるべきオペラント条件づけとは? Twitter経由で、 オペラント条件付けで「SNS時間を減らし、読書時間を増やせるか」検証してみた結果 という記事を拝見した。 それによれば、 ...「オペラント条件づけ」とは、一言で説明すると「アメとムチで行動をコントロールする」というものです。具体的には、「勉強を1時間したら『ご褒美としてコンビニのスイーツ』」「テレビを1時間見たら『ペナルティとしてトイレ掃除』」といったルールを、下の図のように設定していきます。とされており、今回は、
以上の記事は一般向けに、オペラント条件づけによるセルフコントロールの手法を分かりやすく紹介したものであり、行動分析学に好意的な内容となっている面では評価できるのだが、実際に上記そっくりのやり方で生活習慣を改善することには大いに問題があり、また、オペラント条件づけの応用について、「オペラント条件づけというのはアメとムチを使って人間を動物のように飼い慣らすものだ。あなたも飼い慣らされてみてはいかがですか?」という誤解を生む恐れがあるように思われた。 まず、ご褒美やペナルティの設定に問題がある。まず、当初、「本を一冊読んだら、早起き1日免除/本を半分読んだら、家事1日免除」というように設定されていたが、早起きは健康によいし、家事も生活上必要なことであって、これらが罰的に扱われていることは中長期的にみて望ましくない。また、最終的に「本を50ページ読んだら、甘いものを食べていい。/SNSを30分見たら、甘いもの禁止。」とすると、読書習慣が定着すればするほど甘いモノを食べ過ぎて生活習慣病になってしまう恐れがある。 しかし、もっと本質的と思われる問題点は、「読書は良いこと→増やしたい」、「SNS利用は時間のムダで悪いこと→減らしたい」というように、短絡的な目標設定が行われていることである。
さらに本質的で重要な問題は、「読書=増やすべき」、「SNS=減らすべき」というように2つの行動を独立的、対立的に捉えているところにある。 まず、その人がSNSに熱中しているということは、原因はどうあれ、SNS参加行動自体が強化的であることを意味する。であるなら、プレマックの原理の応用として、例えば、 ●本を50ページ読んだらSNSに1時間参加 というように、SNS自体を強化子(好子)として活用する方法が考えられる。 さらに、これは読書の内容にもよるが、ブログやTwitterなどを通じて、その本を読んでこれはスゴいと思ったこと、ここは違うのではないかといった点を発信したり、同じ本を読んでいる人との交流をするといった形で、読書促進のためにSNSを活用することである。私自身も、本を読んだ時は、こういう形で、備忘録やコメントを残すようにしている【アクセスがあるかどうかは全く考慮していないが】。 ということで、行動分析学を好意的に紹介してくださっている記事にケチをつけてしまった可能性があるが、私は、行動分析学やその応用は、決してアメとムチの原理で行動を変える理論であるとは思っていない。より巨視的、中長期的な視点に立って、種々の日常生活行動を包括的に調整していくための有効な手順を示すものでなければならないと考えている。 |