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北九州のウォーキングコース沿いのセイヨウアブラナ。岡山・旭川土手でよく見かけるセイヨウカラシナとは、花の咲き方、葉っぱのつきかたに違いがある。 |
【連載】ABC予想 その3 足し算と掛け算の違い(2) 昨日に続いてABC予想の話題。今回は、「足し算だけの世界」に住む人が約数や素数を理解できるか?について考えてみたいと思う。 結論から言えば、「足し算だけの世界」であっても、約数や素数という概念は有用であり、研究対象になり得るのではないかと思う。 例えば、12個のイチゴがあったとする。n枚のお皿(n<12)に、1個ずつイチゴを置いていったとする。それぞれのお皿に置かれたイチゴの数が同じになるのは、お皿の数が1枚、2枚、3枚、4枚、6枚、12枚である時に限られる。あくまで1個ずつイチゴを置いていくので、割り算や掛け算は必要ない。「数える」ことと「同じ数」ということを知っていれば、それでよい。また、同じ個数だけ載せるという条件を満たすnの数がすなわち約数になる。 次にイチゴが11個であったとする。これらを同じ数だけ載せることのできるお皿の数は、1枚または11枚に限られる。条件を満たすお皿の数が1枚または、イチゴと同じ数に限られるようなイチゴの個数は、すなわち素数ということになる。(但しイチゴは2個以上)。 さらに、イチゴが0個の場合を考える。この時はお皿が何枚あっても、お皿の上のイチゴはすべて0個のままとなる。これが、掛け算で言うところの「ゼロにどんな数を掛けてもゼロになる」を意味する。また、お皿の上にイチゴを1個ずつ置いた時は、イチゴの数とお皿の数は同じになる。これが、単位元のような概念になる。 数学については全くの素人のため詳しいことは分からないが、足し算や掛け算を抽象化した代数構造は「群」と呼ばれるそうである。その中のアーベル群では、和が定義できれば、x を繰り返し加えることとして自然数を掛けることができる。このことから約数や素数を加法だけで定義することは可能であるように思われる。 ところで、足し算と掛け算には、 a×(b+c)=a×b+a×c という分配法則が成り立つという。このことを最初に習ったのは中学生の頃だと思うが、私には、これは単なる計算の手順を示した約束事であって、なぜ法則と呼ばれるのかがさっぱり分からなかった。もちろん、「×」と「+」を取り替えて、 a+(b×c)=a+b×a+c というような数学があってもよいのではないかと思う(但し、「a+b×a+c」の時に「b×a」を先に計算するというのは約束事であって法則ではないはず)。いずれにせよ、中学や高校の時には、何が法則で、何が(計算の手順を示す)約束事なのか、ということはよく理解できなかったし、学校で教わったこともなかった。 不定期ながら次回に続く。 |