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水曜日の午後、いつものようにウォーキングの一環として半田山植物園を訪れたところ、入口は閉鎖され、5月7日まで臨時休園になるという掲示があった。半田山植物園はもともと入場者が少なく、キリシマツツジが見頃となっているこの時期でも、平日の夕刻の入場者数はせいぜい10人前後、雨上がりの日などは誰にも会わない時もあり、この場所で感染が拡大するとは思えないのだが、公営施設の一律閉鎖に含まれてしまったようである。 4月11日の日記にも書いたように、新型コロナウイルスの感染拡大防止が第一であるとしても、免疫力の向上させ、かつ重症化しないためには日頃から健康増進活動を継続することが大切である。私自身もさっそく、代替のウォーキングコースの検討に入った。水曜日は法界院の裏山の山頂までを往復したが、このほか、旭川の土手、三野公園・天神社、備前原方面往復などを考えている。 |
【小さな話題】広島県職員の10万円給付金活用問題 各種報道によれば4月21日の記者会見で広島県知事は、国からの10万円一律給付のうち県職員が受け取る分を基金に積み立ててもらうなどして今後の感染防止対策など県の政策の財源に活用できないか検討していく意向を明らかにしたという。この発言は各方面からの批判を受けて、事実上撤回されたというが、このニュースが耳に入った直後から、これは妙な発想だ、どうしてそういう考えが出てきたのか、私には理解できなかった。 まず、私が最初に耳にした報道内容は、4月21日21時11分発信のNHKニュース記事のような内容であり、 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた、国からの現金10万円の一律給付を例にあげ、「県庁職員も給付の対象となっており、その取り扱いについても聖域なく検討していきたい」と述べて県職員が受け取る分は、基金に積み立ててもらうなどし、今後の感染防止対策など、県の政策の財源に活用できないか検討していく意向を明らかにしました。というものであった。その後、「職員の財産に手を突っ込む行為だ」などと批判が高まったことを受けて、翌日の会見では 「国の給付金を強制的に提出させるかのように受け止められているがそれは誤解だ。給付金は、もともと職員が受け取るものだと思っている。撤回というか、適切なことばではなく、まさに私のことばが悪かった」と述べたというが、その一方で、今後、給与削減も含めた広い意味で職員に協力を求める可能性にも触れたという。 知事の当初の発言を耳にした時にこれは妙だと思ったのは、任意の寄付であれ、例示であれ、10万円という職員の私有財産が話題にのぼったことであった。今回の一律10万円給付というのは、そのお金が個人の銀行口座に振り込まれた時点で、その人の私有財産となる。憲法第二十九条では 財産権は、これを侵してはならない。と定められており、県の政策の財源として一律10万円給付に言及すること自体が財産権を侵すことにつながる。もちろん、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」のだが、仮に現金で給付された財産10万円を公共のために用いる場合、「正当な補償」額としては10万円が妥当であり、これを9万円や8万円にするには相当の根拠が必要であろう。 もし当初の発言のような考えがまかりとおるのであれば、例えば、外食産業の社長が従業員に対して、 我が社は新型コロナウイルスの影響で倒産の危機に陥っている。ついては、今回一律で給付された10万円はぜひとも会社再建の資金として寄付していただきたい。と要請することもアリになってしまう。 冒頭の知事の発言は、任意の協力を求めるもので強制ではないという趣旨であったというが、組織の長が部下に対して何かの要請をするというのは、口先でいくら任意性を強調したとしても大きな圧力となる。例えば、その後の昇進や配置換えにあたって、10万円の寄付の有無が考慮対象になるとすれば無言の圧力になるし、まだ寄付をしていない職員に対して上司が「お前はなぜ寄付しないのか」とプレッシャーをかけることになればパワハラとなる。 任意性を担保して寄付を求めるというのであれば、県庁の入口に寄付箱を設置し、誰が寄付したのかが特定できない形で善意の寄付を集めるべきである。 今回の知事の当初の発言に対しては、「新型コロナウイルスが蔓延しても公務員の給料は減っていないのだから、10万円分を徴収して、収入の減った人に回すのは当然だ」というような声があったとも聞くが、これは別次元の議論である。このようは意見を述べる人は、県知事への支持を表明するのではなくて、「10万円一律給付」に反対し、「減収世帯に30万円もしくはそれ以上を支給」という対策を後押しするべきであろう。 納税者が給料を負担していることもあって、公務員はしばしば批判の対象になりやすいところがある。確かに、時たま、公務員による犯罪行為が報道されることもあるし、地方によっては、基本給に加えて不適切と思われるような諸手当が上乗せされているという話も聞く。しかしそのことと、私有財産保護の話は全く別問題である。また、今回の新型コロナ感染により、最前線で対応にあったっている担当職員はもちろん、それ以外の部署においても、幼稚園や小学校の休校により、子育てと仕事の両立に苦労している公務員、介護施設のデイサービス休止で親の介護の負担が増えている公務員も少なからずいるはずで、そういう立場の人たちのことを思えば、給与削減などには安易に言及できないはずである。 |