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岡大・東西通りのサツキツツジが見頃となってきた。GWの頃のハナミズキ、ヒラドツツジに続いて岡大・東西通りを華やかに飾る3番目の花となる。 |
【小さな話題】新型コロナウイルスの地域差と血液型 新型コロナウイルスの感染はさらに拡大し、ジョンズ・ホプキンス大学の17日午前3時時点の集計によると、世界全体で新型コロナウイルスの感染が確認された人は459万6304人、亡くなった人は30万9685人となっているという(NHK、2020年5月17日4時45分配信)。 感染者数の内訳は、
また死者の内訳は、
5月15日の日記にも記したように、感染者や死者数が多い国・地域と言えば、今年の2月頃は中国、その後、イタリア、スペイン、イギリス、フランスといった西欧諸国、さらにアメリカで急増しているということまでは知っていたが、最近では、ロシア、ブラジル、ペルー、そしてインドというように、これまでとは異なる地域での拡大が顕著となっており、さらには医療体制の脆弱なアフリカ諸国への拡大が心配されているところである。こうしてみると、当初指摘されていた地域差も、根拠が薄れてきた。例えば4月3日の日記で言及した「BCG仮説」は、「BCG接種を義務づけている、日本、中国(武漢を除く)、韓国(大邱を除く)、ロシア、インド、ASEAN諸国、中南米(エクアドルを除く)などは、例外なく新型コロナウイルスの死亡率が低い。」という特徴を拠り所にしていたが、ロシア、インド、中南米での感染拡大をみると、以前ほどには説得力を失ってきているように思える。 では、血液型(ABO)はどこまで地域差を説明できるだろうか。こちらの図録では、国別・人種別の血液型比率をO型最多、A型最多、B型最多に分類しているが、今回の新型コロナウイルスは、O型最多地域(例えばアメリカ、イタリア、イランなど)でもA型最多地域(フランス、ロシアなど)でも感染が広まっており、今後、B型最多のインドで感染が拡大するようになれば、結局、血液型(ABO)は地域差を説明できず、感染予防には何の役にも立たないとしか言いようがなくなる。 ちなみに、私は、こちらの資料集でも繰り返し論じてきたように、人間の行動特性は、その大部分が行動随伴性や関係フレームの形成といった経験的要因によって複合的に特徴づけられるものであり、A、B、O、ABなどといった生来の4類型にこじつけてステレオタイプ化することは差別・偏見を助長するだけであり、TVなどで面白おかしく取り上げることは厳に慎むべきであるという主張を続けてきた【いちばん最後に書いたのはこちら】 。しかし、2018年12月9日に取り上げたように、血液型によってかかりやすい/かかりにくい病気があることは知られており、今回の場合も、地域差は説明できないにしても、同じ地域における感染率、重症化率などを調べれば、血液型別で何らかの差が見つかる可能性はあるのではないかと思われる。なぜなら、国別の地域差のデータでは、それぞれの国の検査基準や医療体制の違いなどに大きく左右されるが、同じ地域内で比較すれば、そうした要因が排除できるからである。もっとも、日本のように、血液型性格判断の俗説があまりにも広まってしまった国においては、血液型別の感染率とか重症化率などを調査・公表すると、差別偏見を助長してしまう恐れがある。もし、研究が進んで、血液型別の感染防止対策とか医療態勢をとるということになった場合は、合わせて、血液型性格判断の非科学性や弊害についての正確な情報をセットにして広報する必要があるだろう。 ま、それはそれとして、現状では、新型コロナウイルスは、どの地域、どの人種や民族でも、そしてどの血液型(ABO)においても同じように感染しやすく、同じ程度に重症化のリスクがあるという帰無仮説を棄却する段階にはない。 もし例外があるとすれば、日本の新型コロナ死亡率がなぜ欧州の1/100と極端に少ないのかという話だが、これも現段階での話であって、いつ何時、欧州並みの死者に急増するかどうかは安心できないところがある。現時点では、日本人の国民性と高度な医療体制の成果であると誇りを持って受け止め、科学的な精査は事態が収束した後まで待つというのが無難な道筋であろう。 |