じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 新型コロナウイルス感染予防のため岡大では、学生の登校禁止が続いているが、オンライン授業受講等のためにWi-Fiを使用する教室として、一般教育棟A41,B33,B41が開放されているという。じっさい、写真のように、確かに照明のついている講義室があった。もっとも、中庭の大量の自転車はWi-Fi利用者ではなく長期間放置された自転車の一時保管と思われる。
 なおこちらの情報(5/29更新)によれば、6月1日以降の学生の登校条件は以下のようになっている。
  • 岡山県内から:体調に異常がないこと。
  • 兵庫県,大阪府,京都府から:体調に異常がないこと。
    ただし,6月11日までは,試験や至急の証明書発行のためなど必要最低限の登校にとどめてください。
  • 北海道,東京都,埼玉県,千葉県,神奈川県から:6月18日までは登校を控えてください。
  • その他の県から:体調に異常がないこと

 このまま感染が終息することを祈るが、ここ数日、北九州市で第2波の徴候があるなどまだまだ警戒が必要なようである。

2020年5月30日(土)



【小さな話題】QRコードはなぜスゴいか?(その1)

 少し前の放送になるが、5月17日に放送された、

NHK サイエンスZERO 「驚異の自動認識技術!QRコード開発秘話」

を録画再生で見た。

 QRコードは今や世界的に普及しており、西寧の市場、さらには、インドとの国境に近いパンゴンツォの観光用双眼鏡までQR決済が行われていることに驚いたものである。またこのWeb日記は、NHKの「おはよう日本」を視ながら執筆しているが、画面左下には、新型コロナ特設サイトのデータ放送を案内するためのQRコードが表示されている。

 このQRコードが日本で開発されたということは何となく知っていたが、今回の番組では、まさにその産みの親の原昌宏さん(デンソーウェーブ主席技師)が出演され、開発秘話やその特長について解説された。

 原さんによれば、QRコードが完成し命名されたのは1994年8月8日であるという。意外と古くからあるように思われるが、これはQRコードが開発当時は自動車部品工場や配送センター等での識別のため世間には知られていなかったが、その後、スマホの普及などと連動して、利用範囲が急速に増大したため、多くの人々の目に触れるようになったのがつい最近であったことによるものと思われる。番組でも紹介されていたが、現在では、スマホのQR決済、各種のWeb情報案内、さらに、地下鉄・都営浅草線のホームドアの開閉(ドアの数が異なるさまざまなタイプの車両が通っているため)や顔認証システムなどにも応用されているという。これだけ普及した要因としては、読み取りの速さ、正確さ、情報量の多さに加えて、特許権をオープンにしたことが大きくかかわっているようである。

 QRコードについて、私はこれまで以下のような素朴な疑問を持っていた。
  1. なぜ四角形の集合なのか? 他の形はできないのか?
  2. 印刷されたコードが不鮮明な場合、誤って読み取られることは無いのか。
  3. コピー機を使えば簡単に偽造できるのではないか?
 このうち1.については、円形でもよいのだが、解像度の高い(ドット数の多い)プリンターでないと印刷できないと説明された。
 このQRコードはバブル崩壊の1992年頃、低予算のもとで2年間を区切って開発された。格子状に並べた大量の情報は処理に時間がかかると思われたが、これを解決したのは原さんの趣味でもあった囲碁の白黒の石の配置の読み取りであったという。囲碁の石は必ずしも碁盤の格子の上に精密に並べられるものではなく多少のずれがある。しかしそれらを「大ざっぱ」に読み取ることで対局することができる。専門的なことは分からないが、こうしたファジーな読み取りを高速化に応用したらしい。

 QRコードには、四隅のうちの3隅に「回(真ん中の正方形は■)」のような形の図形が配置されており、「切り出しシンボル」と呼ばれている。この図形の外側の「□」の黒い部分、中央の「■」との間の白色部分、中央の「■」の幅の比は、1:1:3、図形全体では、「1:1:3:1:1」という比率になっているという。この比率は、タテヨコ斜めどの方向からスキャンしても変わらない。実は、この比率が読み取りのキーになっているらしい。開発段階で、いろいろな文字(日本語ばかりでなく、アルファベットやハングル、簡体字、アラビア語の文字など)を画像化して文字と余白の白黒比率を調べたところ、1:1:2とか1:4の比率が多く、奇数系の比率は意外と少ないことが分かった。このことは、文章や図形と一緒に印刷されているQRコードだけを自動的に抽出して読み取る上では重要と言えよう。

 QRコードにはもう1つ、アライメントパターンと呼ばれる小さなシンボルがある。これは、曲面などに印刷されたコードのひずみを補正するために配置されたものであるという。

 私自身はスマホを持っていないが、ガソリン割引のために前回のレシートのQRコードを読み込ませたり、飛行機搭乗の際に自分で印刷したコードを読み込ませたりすることはある。こうした時、紙がしわくちゃになったり、汚れたりしないように大事に保管してきたが、上記のような話を伺うと、あまり気を遣わなくても読み込みでエラーが出ることは無さそうである。もし、コードが読み取り不能となった場合は、むしろ、登録や使用手順のミスを疑ったほうがよさそうだ。

 次回に続く。