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昨日に続いて、新型コロナウイルスに似た形をしているジャコウアゲハの幼虫の写真。かなり密集している。すぐ近くにはヘクソカズラあるが、ウマノスズクサのみを食べ続けるというところがスゴい。もしヘクソカズラを食べるように進化すれば迷惑雑草の除去につながるのだが、世の中そううまくはいかない。 |
【連載】「タモリ×山中伸弥 人体 VS ウイルス〜驚異の免疫ネットワーク〜」(その5) 昨日に続いて、7月4日に放送された ●NHKスペシャル「タモリ×山中伸弥 人体 VS ウイルス〜驚異の免疫ネットワーク〜」 の感想と考察。 番組の後半では、免疫力の個体差、ファクターX、今後の課題などが取り上げられた。 まず免疫力に関しては、新型コロナウイルスに感染した人の抗体量にはかなりのバラツキがあり、中には平均の10倍以上の抗体を作り出せる人の居ることが明らかになったという。抗体の少ない人に、抗体をたくさん作り出した人の血液を輸血すれば重症化から快復することは可能であるようだが、これでは多くの重症者を救うことはできない。しかし、ワクチン開発のヒントにはなりそうである。じっさい、「スーパー免疫力」を持った人の免疫細胞(B細胞)を取り出して培養し、抗体を大量に作る治療法が実用間近になっているという。 抗体を作るために必要な「伝令役の手」の形は、人種や民族によって異なっており、これはHLAという遺伝子の違いによるものと考えられているという。これは、それぞれの地域で異なる病原体が流行し、これに対抗できるHLAを持った人が生き残ることで多様化してきたと考えられているようだ。 このWeb日記でも何度か書いているが、これからの医学では、万人共通の特効薬を開発するというより、免疫システムの個体差に注目し、それぞれの特徴に適合した複数種類の対策をとる必要があるように思う。一週間ほど前にも、 アビガン臨床研究で結果、有意差無しも「有効な可能性」 という報道があった。それによれば、
ここでアビガンの有効性自体を議論するつもりはないが(というか素人の私にはそういう意見を述べる資格もないが)、上記の研究は、アビガンがすべての患者に有効かどうかという発想に基づいて分析されているように思われる。私が言いたいのは、そういう万人への効果を検証するのではなくて、アビガンがどういうタイプの人に効いたのか、どういうタイプの人には殆ど効かなかったのか、という個体差の原因を詳細に分析する必要があるということだ。あるタイプの人に確実に効くことが分かればそういう人たちの治療に使用し、効かないことが予想されるタイプの人には別の治療法を選択すればよいはずだ。 本題に戻るが、番組では続いて、日本人の重症者・死者が少ない要因として仮定されているファクターXについて説明された。これについては、アジア人共通の遺伝的な特徴による可能性があるほか、日本のとった対策のうちの何かが有効である可能性、マスク着用の習慣、BCG仮説などが挙げられていたが、山中先生の結論は「まだわからない」であった。 タモリさんからは「免疫力を上げるにはどうしたらいいか?」という質問が出されたが、山中先生の答えは「免疫力を上げるのはなかなか難しいが、免疫力はストレスや運動のやり過ぎなどで簡単に下がってしまう。なので、免疫力を下げないために、十分な睡眠、バランスのよい食事、適度な運動をとる必要がある」というお答えであった。私自身は、この3点はよく守られている。特に定年退職後は、締め切りや雑用に追われることが減り、現役時代よりも規則的で健康的な生活を守ることができるようになった。 もっとも、番組終わりのところで紹介されていたような、100歳になっても強い免疫力、快復力を持っている人たちのようには私はなれそうもない。ま、老衰で死ぬか、癌で死ぬか、事故で死ぬか、感染症で死ぬか、というのは自分で選べるものではないし、それぞれのリスクに対してできる限りの努力を怠らないことが肝要かと思う。要するに「こういうことをやっておけば良かった」というような後悔を残さない生き方を実践することであろう。 |