じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 7月30日、九州北部、四国、中国地方の梅雨明けが発表されたものの。岡山では15時頃から真っ黒な雷雲が押し寄せ、いっとき、大雨洪水警報が発出されました。この日の合計降水量は42.0ミリとなり、一日の雨量としては梅雨入り後では、6月18日の77.5ミリ、7月8日の51.5ミリに次ぐ第三位の大雨となった。
 この雷雨により、15時時点では33.5℃だった気温(最高気温は14時15分に記録した34.4℃)は、16時時点には24.6℃というように一気に10℃近く低下した。
 雨が降り止んだあとは南東の空に美しい虹が出現した。


2020年7月30日(木)



【連載】新型コロナ感染拡大と「感染7段階モデル」(2)論点はどこにあるのか?

 昨日の続き。
 7月30日22時37分発信のNHK集計によれば、7月30日は東京都で367人、大阪府190人など空港の検疫も合わせると全国で合わせて1301人の感染が発表され一日の感染者数としては7月29日の1264人を上回り、最も多くなった。また累計の感染確認者数(正確には陽性者数)は3万4809人(クルーズ船乗客を入れると3万5521人)、死者は1007人(クルーズ船乗客を含めると1020人)。

 感染者の数だけから言えば、もはや「日本人は感染しにくい」という「神話」は成り立たないようにも見えるが、世界全体の感染者数は1710万9335人、死者は66万8801人【ジョンズ・ホプキンス大学調べ、日本時間7月31日午前03時時点】というから、まだまだ「日本人は感染しにくい」「重症化しにくい」という傾向は続いているように思われる。

 ちなみに、世界各地の感染者は、多い順に、アメリカ、ブラジル、インド、ロシア、南アフリカとなっており、コロナが猛威を振るっている地域が、少し前の西欧から、BRICs(ブリックス)に移っていることが読み取れる。
 いっぽう、死者のほうは、アメリカ、ブラジル、イギリス、メキシコ、イタリアとなっていて、感染者数ランキングとは必ずしも一致しない。但し、死者が相対的に少ないからといって、医療体制や感染防止策が充実しているとは必ずしも言えないようである。一般に、平均寿命が低い国、つまり高齢者が少ない国では、感染者の多くが若者になるため重症化しにくい可能性があるからである。




 さて、本題の「感染7段階モデル」の話題に戻るが、新型コロナ感染ステージが7段階に分けられるという仮説自体は、
  • 気道にある繊毛によって体外に排除される。
  • 自然免疫システムが発動
  • 獲得免疫システムが発動
  • 一部の患者でサイトカイン・ストームが発生し重症化し、最悪の場合は死に至る
という新型コロナ感染症の重症化の特徴を整理しただけであって、特に驚くにはあたらないし、反論を唱える研究者もいないのではないかと思われる。批判・反論が寄せられるのは、それぞれの感染段階に該当する人たちの比率の想定が妥当かどうかという議論であろう。モデルから推定される値と観測された値がよく一致していれば「より良いモデル」と言えるが、現状で一致度が高いからといって、必ずしも将来を正確に予測できるとは限らない。「日本人は感染しにくい」や「重症化しにくい」を説明することだけを目的とするなら目くじらを立てて反論するほどのこともないだろうが、重症化や死亡率を少なめに予測していてそれが誤りであったとすると、取り返しのつかない悲劇をもたらす恐れがある。

 このことをふまえて、感染7段階モデルの紹介記事を見ていくと、まず1ページ目では、
  1. 日本も含めた各国でそれぞれ数十万人死亡するというような、当初流布された予想は大きく外れた。その原因はインフルエンザをベースとしたモデルを使っているためだと思われる。2つのウイルスには大きな違いがある。
  2. 新型コロナウイルスは、初期から中盤までは、暴露力(体内に入り込む力)は強いが、伝染力と毒性は弱く、かかっても多くの場合は無症状か風邪の症状程度で終わるおとなしいウイルスである。しかし、1万〜2.5万人に1人程度という非常に低い確率ではあるが、サイトカイン・ストームや血栓形成という状況を引き起こし、肺を中心に多臓器の重篤な障害により、高齢者を中心に罹患者を死に至らせてしまう。
という2点が指摘されている。素人ながら、私はこの特徴づけは正しいと思われる。じっさい、今でも、感染拡大の主要な原因は、クラスター発生や濃厚接触であるし、しかも濃厚接触したからといって100%が発症するわけではない。
 但し1頁目に「おとなしいコロナ」が「凶暴なコロナ」に変身すると誤解を与えるようなイラストがあるがこれは間違いであろう。私の知る限り、サイトカインストームは免疫系の暴走であり、あくまで人間側の個体差の問題である。新型コロナウイルスに「おとなしいコロナ」と「凶暴なコロナ」の2種類が存在しているわけではない。

 世間ではワクチンの開発に期待が寄せられており、いま行われている経済対策はワクチン完成までの繋ぎであるように受け止められているが、私は、そのような救世主的なワクチンは決して現れないように思う。現存の新型コロナウイルスは防ぐことができても、そのころには、変異した新々型コロナウイルスが猛威を振るっているだという。またワクチンの副作用により免疫系の異常が起こったり、人類の存続に致命的となるような想定外の影響(例えば子孫をつくる機能を妨げるような影響)や、ウイルス開発上の事故により凶暴なウイルスが発生してしまう恐れなども否定できない。それよりも、免疫系の暴走を防ぐような安全・有効な治療法を確立し、重症化を防ぐ対策に力を注ぐことが必要ではないかと思っている。

 次回に続く。