じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山ではこのところ曇りがちの日が多く夜空の星が見えにくくなっていたが、10月13日の早朝、雲の間から火星【写真上】、月齢25.4の月と金星【写真下」がかろうじて見えていた。

2020年10月12日(月)



【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(24)セッティング事象とは何か?(10)実証的研究(1)

 10月8日に続いて、

武藤崇 (1999).「セッテイング事象」の概念分析一機能的文脈主義の観点から一. 心身障害学研究, 23, 1313-146.

についての感想。なおこの論文はつくばリポジトリから無料で閲覧できる。

 武藤論文では、概念分析の諸論文の概括に続いて、実証的研究がいくつか紹介されていた【138頁】。

 最初に紹介されたMayer, Butterworth, Nafpaktitis, & Sulzer-Azarff (1983)では、「生徒の読字レベルと宿題の難度のズレ」、「『罰』の横行」、「その他、行動管理手続の誤用」を学校内での破壊行為の潜在的なセッティング事象としてとらえ、教員に対する訓練やコンサルテーションを実施したという。なお、この論文はこちらから無料で閲覧できる。ざっと見ただけの印象にとどまるが、「訓練やコンサルテーション」の再現性や、各所で用いられていた統計的検定が、独立性や、サンプル抽出という点で適正であるかどうか、疑問が残った。

 次のDuman(1986)の研究は、深刻な問題をかかえる母子14組を対象に、母親の家族外での社会的関係をセッティング事象として「セット・アップ」するという内容であったようだが、私のところでは閲覧できていない。

 3番目のMartin, Brady, & Williams (l991)の研究では、障がいを持つ幼児を対象に、障がいを持たない幼児との統合グループと、非統合グループにおいて、社会的な玩具と個別的な玩具の影響をセッティング事象として検討したものであった。この論文はプレビュー画面しか見られなかったが、ここでいう社会的玩具とは、ボール、dress-up clothes、おもちゃの乗り物など、個別的な玩具(独りで遊ぶ玩具)とはパズル、本、図工素材、Play-Doh(粘土)などであったという。もっとも、遊ぶという行動は、おもちゃというオペランダムがあればこそ生起するものであるし、グループ分け自体も条件の違いとして再現可能な形で記述できることからみて、「セッティング事象」という概念を新たに追加する必然性は無いようにも思われた。

 不定期ながら次回に続く。