じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 半田山植物園の山腹から眺める墓地。西日に照らされた高層ビル群のように見える。

2020年11月16日(月)



【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(36)1991年のHayes論文(7)結論

 すっかり間が空いてしまったが、11月01日に続いて、

Hayes, S. C. (1991). The limits of technological talk. Journal of Applied Behavior Analysis, 24, 417-420.

についての考察。

 この論文の結論部分のところでは、応用行動分析の研究者にとって基礎理論は重要であり、しかも、基礎理論を利用するだけではなく、みずから基礎理論の構築にかかわっていく必要があり、またそのことが応用行動分析学者の責務でもあるとと論じられていた。なおその理由の一部は、

Hayes, S. C. (1987). The relation between "applied" and "basic" psychology. Behavior Analysis, 22, 91-100

でも言及されている。

 とはいえ、「広さ」と「正確さ」はトレードオフの関係にあり、より広い範囲への適用を追求すればその代償として正確さが失われてしまう。結局は、応用面での正確さを保ちつつ理論面の特長を活かすということが、新たな状況にも適応可能な科学の構築につながる。そういう点からも、当初の「In the current issue, the Editor of JABA has asked if we are technological to a fault.」という編集者からのお題に対しては、YESと答えた上で、技術面の改良(こういう手法を取り入れたらこうなった、というような話)ばかりではなく、基礎理論の発展にも関わることが重要であると結論づけていた。

 ということでこの論文を私なりに解釈してみたが、Hayes先生は、ご自身でも関係フレーム理論の確立に携わり、その理論に根ざした応用行動分析学の技術面での発展に尽くしてこられた。傍観者ではなく、言行一致の実践者として、実績を積み上げてこられたという点で、より説得力にある内容となっているように感じた。

 不定期ながら次回に続く。