じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 2月8日から10日までの3日間、生協食堂のライス単品が無料になるという。「新型コロナウイルスの影響で経済的に困っている学生さんの支援に」という趣旨なので、年金生活者にも適用されるのかどうかは不明だが、たいへんありがたい企画である。

2021年2月5日(金)




【小さな話題】映画『心の旅路』と、記憶喪失

 2月4日、NHK-BSPで、映画『心の旅路』を放送していた。

 この作品は1942年に公開された恋愛映画であり、以前にも観たことがあるが、ストーリーは殆ど忘れていた。

 リンク先にも紹介されているように、この映画は「興行的には成功したにもかかわらず、当時の批評家たちからの評価は低い。」とされている。確かに、チャールズ・レイニアがスミシーであると分かった時点で、マーガレット(つまりポーラ)は正体を明かした上でチャールズ・レイニアの失われた記憶を回復させる努力をするべきだという気もするがそれでは映画にならない。ストーリーの不自然さは他にもあるが、映画としてはあれで良いのではないかと思う。

 記憶喪失を扱った作品として特に印象に残っているのは、上記の『心の旅路』と、コナンドイルの『五十年後』、それと韓流の『冬のソナタ』であり、私にとってはこれが「記憶喪失を扱った3大作品」となっている。

 コナンドイルの『五十年後』は、日本語版が出版されているほか、ネット上のarthur-conan-doyle.comの中で、『John Huxford's Hiatus』という原題で無料公開されているようである。hiatusというのは、中断、欠落といった意味。1888年にThe Cornhill Magazineで発表されたという。

 冬ソナについては、だいぶ昔に、こちらの連載で感想を述べたことがあった。

 健忘や記憶喪失を題材とした作品は多数あり、ウィキペディアには、健忘を題材とした、小説30作品、映画82作品、テレビドラマ46作品が掲載されている(『五十年後』は含まれていないようだ)。

 ところで、記憶喪失というと、事故や病気を原因として生じるきわめて稀な現象のように思われるが、多くの人々は人生で2回、記憶を失う宿命を背負っている。1つめの「記憶喪失」は幼少期の体験であり、どんな人でも2〜3歳以前の体験は殆ど記憶に残らない。最近は気軽に動画で成長記録を撮影できるため、幼少時に撮影された動画を繰り返し見ていれば「あのとき、ああいうことがあった」というイベントとしては記憶されるかもしれないが、それは、当時の記憶ではなく、後から動画をみたり、親などから聞いた話をもとに、新たに記憶されたものである。こうした過去の記憶は決してよみがえることがないと思われるが、夢の中で、当時の出来事に起因するシーンや展開が現れる可能性はあるかもしれない。

 もう1つの「記憶喪失」は加齢に伴うものであり、私の場合、最近とくに顕著になっている。但し、幼児期とは異なり、若い時の記憶は、映像や言語的な手がかりがあればよみがえらせることが可能である。定年退職後、プリント写真をスキャナでデジタル画像化していた時期【←すでに完了】には、その写真に関係した出来事が夢に現れてきたことがあった。