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3月3日の夜明け前、南東の空の低い位置に、水星と木星が接近して見えた。少し離れたところには土星も輝いていた。
水星と木星は3月5日の15時46分に0°20′まで接近する。また、水星は3月6日の20時22分に西方最大離角となる。 |
【小さな話題】2021年京大・文系数学の整数問題の拡張(さらに続き) まず、昨日の日記に記した、 x4-1 =(x2-1)(x2+1) =(x+1)(x-1)(x2+1) =(x+1)(x-1)(x2-4+5) =(x+1)(x-1)[(x+2)(x-2)+5] というよう式の変形を、念のため、元の京大の文系数学の入試問題: ●pが素数ならばp4+14は素数でないことを示せ。 にあてはめて解くと以下のようになる。 p4+14 =p4-1+15 =(p2-1)(p2+1)+15 =(p+1)(p-1)(p2+1)+15 =(p+1)(p-1)(p2-4+5)+15 =(p+1)(p-1)[(p+2)(p-2)+5]+15・・・・・@ ここで、
「p4+14」の「+14」というのは、「-1+15」であることに意味があり、かつ15は3の倍数でもあり5の倍数でもあるため、上記のような証明が可能となるのである。 なお、ネット上の塾・予備校などの解答速報をいくつか検索してみたが、上に記した、(p+1)(p-1)[(p+2)(p-2)+5]+15と変形することによる解法は見つからなかった。 ところで、「pが素数ならばp4+14は素数でないことを示せ。」という元の問題の「pが素数ならば」を外して、 ●p4+14が素数となるような整数pの必要条件を示せ と書き換えたらどうなるだろうか。ちなみに、ここで「pの必要条件」ではなく「pの必要十分条件を示せ」とすると大変な難問となる。というか、答えが出せるのかどうか分からない【「素数をf(n)で表せ。但しnは自然数。」と同じような解決不能問題かも】。 でもって、必要条件をどこまで挙げられることになるか、ということになるが、これまでの経緯から、p4+14が素数となるようなpは、
なお、この話題は、鈴木貫太郎さんのYouTubeでも取り上げられており、上記の必要条件を満たし、p4+14が素数になる例として、p=165が挙げられていた(1654+14=741200639)。 今回の入試問題については、心理学の知り合いの守一雄さんから、「pが素数ならばp4+14は素数でないことを示せ。」ではなく「pが素数ならばp4+4は素数でないことを示せ。」としたほうが美しいのではないかというご指摘をいただいた。確かに「+4」とすれば、p=3n±1の解法は使えなくなり解法が絞られる。もっとも入試問題としてどちらが妥当かと言うことになれば、受験生のレベルにも関係してくる。要するに、入試問題というのは、全員が正解となったり、逆に全員が不正解となるような問題であってはならない。受験生のあいだで得点が適度にばらつき、かつその問題が何らかの数学的思考力の物差しとして妥当であることが求められている。 ところで、上に述べたように、「pは素数」という条件を外すと、少なくとも、p=165の時に、p4+14は素数になることが分かっている。では、素数で無いpの中で、p4+4が素数になるのはどういう場合だろうか?[※] この場合の必要条件は、pが5の倍数であり、かつ偶数でないことなので、p4の下1ケタの数字は必ず5となる。これに4を加えるので、もしそういう素数が存在するならば、その素数の下1ケタの数字は9になるはずだが、最小の素数がいくつかのか、あるいは存在しないのかは確認できていない。 [※追記]p=1を含めるなら、p4+4=1+4=5となり、これが最小の素数となる。 ちなみに、「p4+4」という式は、二個の平方数の和の定理を連想させるものである[※※]。また、鈴木貫太郎さんのYouTubeでも言及されていたが、フェルマーの小定理をも連想させる。このあたりと組み合わせれば、他にも面白そうな問題が作れるかもしれない【但し、受験生を振り分ける物差しとしての入試問題になるかどうかは別】。 [※※]二個の平方数の和の定理によれば、2個の平方数の和が素数になる場合、その素数はp≡1(mod 4)になるという。ということは、「p4+4」が素数になる場合、その素数は4で割ると1余るタイプの素数になるはずだ。[※] [※追記]その後、「p4+4は素数でないことを示せ」というように問題を書き換えてしまうと、「pが素数ならば」という条件は不要になり、問題としては美しくなくなることが分かった。3月5日の日記参照。 |