じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 ウォーキングコース沿いで見かけた黄色い水仙。道路に面した民家の庭に咲いていたが、興味深いことに、隣の家の庭にも全く同じ品種が植えられていた。おそらく、どちらかの家で殖えた球根を貰い受けて育てているものと思われる。

2021年3月13日(土)




【連載】又吉直樹のヘウレーカ!#103「クモの糸にはかなわない!?」その2

 昨日に続いて、3月3日に初回放送された、「又吉直樹のヘウレーカ!」:

#103「クモの糸にはかなわない!?」

の感想と考察。

 番組の中ほどでは、ジョロウグモが雨や風で破れた網を修復する場面、またそのさい、一部の糸を食べている場面が紹介された、クモの糸はタンパク質でできており、一説によると張られた糸の9割は食べることで回収されているという。
 前回記したように、網を張るクモは殆ど目が見えないという。私が長年疑問に思っているのは、目の見えないはずのクモたちが、どうやって綺麗な形に網を張ったり、壊れた部分だけを修復できるのかという点であるが、残念ながらこのことに関しては特に説明はされていなかった。もちろん、アリやハチの場合も設計図に基づいて、かつ視覚的手がかりを頼りに巣を作るわけではない。何らかの触覚的手がかりや運動感覚を使って、結果として見た目にも綺麗な形の網ができあがっていくのだろう。
 なおこちらの動画にあるように、クモは無重力状態でも綺麗に網を張ることができるようだ。なので、重力は手がかりにはなっていないようだ。やはり、生得的に備わった何らかの移動特性が網づくりや補修に役立っているように思われる。




 番組の後半では、ジョロウグモのメスが獲物を食べている最中にオスが忍び寄り、無事に交尾を完了するという、映像が紹介された。解説の中田兼介先生も初めて見たと言われるほど珍しい瞬間であるという。

 中田先生によれば、クモによっては交尾したオスの9割がメスに食べられる種類もあるという。なかには、オスのほうから自分の身を投げ出して食べられる場合もあるという。確かに、生物は、自分の複製を作るように進化してきたので、自分が食べられてしまっても、自分の複製を宿したメスの空腹が満たされることになれば、結果的に自分の複製がより多く誕生する確率が高まる。要するに、メスに食べられるオスの遺伝子のほうが、メスから逃れるオスの遺伝子よりも残りやすいという可能性はある【但し、オスが1回だけしか交尾できないと仮定した場合】。ま、私の場合も、死んだあとに火葬にされるよりは、死体を切り分けてステーキとして食べてもらったほうが子孫の存続に有用であるという気もする。学生の頃に見たソイレント・グリーンのような時代が本当にクルかも知れない【もっとも人肉はクールー病などのリスクがあるという。】

 番組ではもう1つ、ギンメッキゴミグモの珍しい習性が紹介された。このクモの場合、オスは交尾を完了したあと、メスの交尾器を壊して去って行く。壊されたメスは二度と交尾できなくなってしまう。このことにより、オスは自分のコピーを確実に確率が高まる【リンク先には他にも自分のコピーを増やすためのいくつかの方略が紹介されていた】。

 もっとも、交尾器が壊されなければ、他のオスと交尾を重ねることで、より確実に子孫が殖えるかもしれない。結果的に、交尾器の破壊はその種類のクモ全体の繁殖にはマイナスとなる可能性があるようだ。

 このことを人間社会にあてはめるとどうなるか?と、ちょっと考えてみたが、人間社会の場合、一夫一妻制を守ることは、自分の遺伝子を受け継ぐ子どもを確実に育てる上で有利に働く。しかし、自由恋愛、つまり、配偶者以外とも自由に交際し子どもを作れる社会に比べれば、出産数が減るという恐れは出てくるだろう。もっともクモと違って、人間の場合は、10年あるいは15年という長い年数をかけて子育てをする必要があるので、親が誰だか分からない子どもがたくさん産まれてしまうと社会不安に繋がる。では、あるムラ社会で自由恋愛を導入し、ムラ全体で一括して子どもたちの面倒を見るようにしたらどうか、という話も出てくるが、その場合は近親相姦に伴うリスクが増えてしまう。けっきょく、人類は、結果として、子孫の繁栄にいちばん適した一夫一妻制を選ぶようになったのだろう。
 なお、一夫多妻制に関しては2017年4月24日の日記に関連記事がある。一夫一妻より一夫多妻のほうが男は得をするというのは大間違いであって、一夫多妻のもとで結婚できる男は一部の権力者や富裕層に限られてしまう。結果的に、そのぶん、結婚できない男が増えてしまう。結婚できない男たちに労働者に多いとすると、労働者の子孫はどんどん減ってしまうが、富裕層だけで社会を維持することはできないので、その国は滅びてしまう。もしくはそうならないためには、外国人労働者を招く必要がある。
 といろいろ考えてみたが、ギンメッキゴミグモの話を人間社会に当てはめるにはやはり無理があるようだ。