じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 3月30日の岡山は黄砂の飛来により、遠くが霞み、10キロ未満の視程となった。日没前の太陽も、肉眼で輪郭が確認できるほどに明るさを失っていた。

2021年3月31日(水)




【連載】又吉直樹のヘウレーカ!#105「ボクも100歳まで生きられますか?」 その1

 3月17日に初回放送された、「又吉直樹のヘウレーカ!」:

#105最終回シリーズ この”なぜ”は止まらない!「ボクも100歳まで生きられますか?」

の感想と考察。

 ヘウレーカは残すところあと2回となった。この回は、ヘウレーカでもおなじみの仲野徹先生が出演し、長寿の問題について3つの観点から考察された。

 番組の冒頭では「Sitting-Rising Test」が紹介された。手を使わず、立ったまま足をクロスして座ったり、座った状態からそのまま立ち上がることができるか、というテストであり、ブラジルのクラウディオ・ジル・アラウショ博士の研究によれば、このテストで「8点未満の人は、それ以上の人に比べて6年以内に死ぬ確率が2倍。1点減点ごとに死亡率が21%上昇する」という結果が得られているという。私も試してみたが、足をクロスしてしゃがんだり、しゃがんだ状態から立ち上がることはできるが、床にお尻をつけたり、完全に座った状態から立ち上がるということは、到底できないことが分かった。ま、年相応かもしれない。ちなみに、仲野徹先生は私より5年ほど年長のようにお見受けしたが、じっさいは1957年のお生まれで、私より5歳もお若いことが分かった。

 番組では、続いて1番目の観点として、寿命に関する話題が取り上げられた。仲野先生によれば、哺乳動物の一生の心拍数は約15億回であり、寿命と心拍数には負の相関があり、心拍数が速い動物のほうが寿命が短くなることが分かっている。但し、ヒトだけは、他の動物に比べると心拍数が多い割に寿命が長い。これは医療の貢献のほか、ヒトだけ他の生物と違う生物的なメカニズムがあるという可能性も否定できないと説明された。
 続いて、心拍数からみると例外的に長生きするハダカデバネズミが取り上げられた。ハダカデバネズミについては以前、このWeb日記でも取り上げたことがあったはずだが、ざっと検索してもいつ頃のことだか忘れてしまった(たぶん、サイエンスZEROの感想として述べたはず)。今回の番組で紹介された特徴を要約すると、
  • 体重から予想される寿命はだいたい6年だが、じっさいの寿命は6倍の36年。
  • 酸素濃度が6〜7%の地中に暮らしている(地上は21%)。
  • DNAやタンパク質など細胞内の生体高分子を活性酸素が酸化させ傷つけてしまうことは「酸化ストレス」と呼ばれ、これが老化の一因になると考えられている。若いマウスと若いハダカデバネズミを比べると、ハダカデバネズミのほうが酸化ストレスは大きい。しかし、高齢になると、マウスでは酸化ストレスが増えるが、ハダカデバネズミは若い時に比べて増えない。
  • ハダカデバネズミが無毛なのは、温暖地域に暮らしていて恒温機能を捨て去った結果。ハダカデバネズミは恒温のために自分で熱を作っていないので省エネにつながっている。
  • 1匹の女王ネズミと、1〜数匹の王ネズミだけが繁殖を行う。数十から300匹ほどの集団で暮らす(超個体)。こうした社会形態が長寿命化につながっている可能性もある。
  • 目はほとんど見えていない。
というようになる。
 なお、ハダカデバネズミにはこのほかがんに対する耐性低酸素・無酸素状態に対する耐性のあることが知られており、まことに興味深い。もしかすると、最初に発見される宇宙人は、ハダカデバネズミのような姿や特徴を持った生物である可能性がある。

 次回に続く。