じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 岡大構内各地でヒメジョオンが猛威をふるっている。写真はじぶんのシルエットと重ね合わせたところ。

2021年6月15日(火)



【連載】「新型コロナ 全論文解読2〜AIで迫る 終息への道〜」その1 ワクチンの有効性と変異ウイルス

 6月5日の22時からNHK-BS101で放送された表記の番組についての感想・考察。なお、同一タイトルの番組は地上波のNHKスペシャルの放送記録にも残っているが、地上波でMCをつとめておられた田中裕二さん、太田光さんは、今回私が録画したBS版のほうには登場しておられなかった。

 番組では、
  1. 変異ウイルスにワクチンは効く?
  2. 変異ウイルス どれほど怖い?
  3. 日本の感染状況 今後どうなる?
という3つの話題が取り上げられていた。私自身はすでにファイザーのワクチンの1回目の接種を終えており、今週中には2回目を予定している。私の家族の間でも接種が着実に進んでおり、好むと好まざるとにかかわらず、上掲の話題には無関心ではいられない。

 まず、1.のワクチンと変異ウイルスとの関係だが、変異ウイルスのうちN501Yについては、感染力は4〜9割上昇、致死率は6割上昇することが報告されている。
 ここで番組内容からいったん離れるが、こちらの記事によれば、N501Yとは、ウイルスのタンパク質の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)に変わり、スパイクタンパク質が人の細胞と結合しやすくなったとされる変異である。いっぽう、484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リシン)に変化したE484K変異もあり、この変異はワクチンの有効率を減少させる可能性があるという。ちなみに、WHOは5月31日、イギリスで最初に特定された「B.1.1.7」系統は「アルファ」、南アフリカで特定された「B.1.351」系統は「ベータ」、ブラジルの「P.1」系統は「ガンマ」、インドの「B.1.617.2」系統は「デルタ」と呼ぶことを発表している。「N501Y変異」の特徴だけを持つのがアルファ、「N501Y変異」と「E484変異」の特徴を併せ持つのがベータやガンマであるという。山中先生のサイトによれば、インドで広がっているデルタには3種類のサブグループ(B.1.617.1、B.1.617.2、B.1.617.3)があり、G142D変異、L452R変異、E484Q変異、P681R変異などの有無の組み合わせが異なっている。

 今回の放送では、N501Yが蔓延した状況でも、ワクチン(ファイザー)は、
  1. 感染を予防する有効性は92%、発症を防ぐ有効性は94%というように高い有効性を示している。
  2. 70歳以上の高齢者でも発症予防の有効性は95%で、16歳〜39歳(有効性99%)、40〜69歳(有効性90%)と比べて差が見られない。
  3. 基礎疾患のある人でも、肥満(有効性98%)、糖尿病(有効性91%)、高血圧(95%)というように、発症を予防する高い有効性がある。
  4. ワクチンには高い持続性がある。半年経っても高いレベルで抗体が維持される。
  5. コロナ感染後の後遺症に対しても、ワクチンに治療効果があるらしいというエピソードがある(査読済論文としてはまだ確認されていない)。
というように高い有効性・持続性のあることが確認されているようだ。

 ま、中にはネガティブな問題を指摘した論文もあるとは思うが、2回目の接種を間近にひかえた私としては、とにかく、有効性や持続性を確認する論文がたくさん刊行されることは、想定される副反応の不安が取り除く効果もあり、ありがたいところではある。

 次回に続く。