じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 昨日の日記にワルナスビが繁茂している写真を掲載したが、文学部中庭の芝地では幸いワルナスビはまだ侵入しておらず、代わりにイネ科の雑草に覆われていた。この状態ではタンポポ、ネジバナなどは生育できない。ワルナスビのようなトゲや毒性がないので、ヤギやヒツジによる除草も可能。


2021年7月9日(金)



【連載】ヒューマニエンス 「“舌” 変幻自在の開拓者」その1 キリンの舌の凄さ/舌の無い動物とは?

 昨日閲覧した到津の動物写真のツイートに、鼻の穴から舌を出すキリンの写真が掲載されていた。

リンク先の記事によれば、「キリンは口呼吸出来ないから自分の舌を使って鼻ほじりをして気道を確保する…らしい」とのことだが、口から舌を出して鼻ほじりをするのではなく、口の内部から気道に舌をつっこみ鼻の外に舌を出すことができるとは知らなかった。人間では到底真似ができない特技と言えよう。

 ということで、1カ月前になるが、6月10日に放送されたヒューマニエンス「「“舌” 変幻自在の開拓者」を再度、録画再生。以下、その備忘録と感想・考察。

 番組は概ね二部構成となっており、前半は舌の系統的発生とその動き、いろいろな音声を発することのできる人の舌の特徴など、後半は味覚や旨味についての研究の紹介であった。

 番組の初めのあたりでは、まず、ニワトリの受精卵の発達の過程で、舌は手足と同じ体節から分化したものであり、自在に動かせる手足と同じ成り立ちをしていることが示された。

 舌が登場したのは、海に暮らしていた動物が陸に上がった時であるという。海中に棲む魚は水を吸い込むことで餌を口に入れることができるが陸上動物ではそれはできない。そこで、食べ物を口に入れたり喉の奥に送り込む器官が必要になる。これが舌であるという。

 ここでいったん私自身の感想と考察を述べることにするが、番組のナレーションで驚いたのは「そもそも魚は、いわゆる舌を持っていない」という点であった。恥ずかしながら私は65+α歳になるまで、魚にも舌があると思っていた。じっさい池の鯉が餌を求めて口をパクパクさせているとき(例えばこちらの写真)、口の中に丸っこい舌が見えていたように記憶していた。
 念のため「魚 舌」でネット検索したところ、Gakkenキッズネットで「魚に舌はあるの」という疑問が取り上げられており、そこでは、
もちろん魚にも舌はあります。しかし、人間の舌のように、やわらかくて自由に動いたりはしないのです。
下あごのまん中の骨(ほね)っぽいでっぱりが魚の舌の部分です。魚は舌で味がわかりませんが、それよりも口の中全体や口のまわり、ひげなどで味を感じているといわれています。また、肉食の魚の舌はざらざらしているものが多く、くわえたえさをにがさない役目もしています。

 またこちらには、鯖の舌の解剖写真が掲載されていた【←お子さんの疑問に体当たりで応じるというのはスゴい! 昨年11月以降のエントリーが無いのは残念】。
 さらに、ウィキペディアによれば、テッポウウオは「口蓋には前方へ向けて細くなる溝があり、そこに下から舌を当てることで喉から口先にかけて水路が形成される。鰓蓋を強く閉じることで 1m 以上も水を飛ばすことができる。」と記されており、水鉄砲の発射に舌が関与していることが記されていた。
 ということで、「魚にも舌がある」というのは必ずしも私の錯覚では無かったようだが、魚が舌なめずりをしたり、舌を使って水中の餌を捕獲するということはなさそうであり、鯉のパクパクの時に見えていたものが本当に鯉の舌であったのかどうかもはっきりしない。

 では両生類、爬虫類、海で暮らす哺乳類はどうだろうか?
 まず舌を上手にこなす両生類としてはカエルがある。サンショウウオの舌は見たことがないが、ウィキペディアによれば、
陸生の種では視覚によって獲物を探し、粘性の舌を伸ばして昆虫やミミズなどを捕える。肺が無い種では、本来は空気を肺に送り込むための舌骨器官が舌を伸ばす為に特殊化し、体長の半分近い長さまで舌を伸ばすことができる種もいる。水生の種では舌は発達せず、側線器官と嗅覚で獲物を見つけ、大きく口を開けることで水と一緒に水生昆虫や小魚を呑み込む。
とのことであった。
 ワニが舌を出しているのは見たことが無いが、ワニタンとして食用にされているという。
 哺乳類のクジラには「さえずり」と呼ばれる舌があるという。

 次回に続く。