【連載】東京2020オリンピック その2 「トーナメント方式では、3位決定戦ではなく2位決定戦を」、「男女混合競技」、「自転車BMXフリースタイル」
7月28日に続いて、東京2020オリンピックの備忘録と感想。
さて、中盤で視聴した種目は以下の通り。日付は、競技が行われた日ではなく、後日視聴した日付となっている。また、5分程度、部分的に視聴した種目を含む。
- 【7月28日】競泳女子200m個人メドレー
- 【7月29日】競泳男子200m個人メドレー、競泳女子800mリレー、体操男子個人総合
- 【7月30日】男子3000m障害予選、男子400m障害予選、自転車女子個人ロードレース
- 【7月31日】競泳男子50m、自転車男子BMXフリースタイルシーディング、トランポリン
- 【8月1日】競泳男子1500m、競泳女子400mメドレーリレー、男子バスケ対アルゼンチン
以下、率直な感想をいくつか。
- このWeb日記でも何度か書いたことがあるが、トーナメント方式で、決勝戦の敗者が2位(銀メダル)となり、準決勝の敗者同士で3位決定戦(銅メダル)を争うというやり方はおかしい。決勝戦のあと、決勝戦の敗者と、準決勝の時に金メダル獲得者と対戦して敗れた選手(あるいはチーム)との間で2位決定戦を行い、勝者を2位(銀メダル)、敗者を3位(銅メダル)とするべきではないかと思う。
もともとトーナメント方式(ここでいうのは1対1の戦いによる勝ち抜き戦)というのは、最も強い者を決める方式としては合理的であるが、2位や3位を決めることはできない。ここで、4枚のコインA、B、C、Dがあり、天秤で重さを比較したとする。便宜上、AとBを比較する時には「A△B」、その結果Aのほうが重いときは「A>B」と表記するものとする。トーナメント方式での準決勝というのは、「A△B」と「C△D」というような対戦を行うことであり、その結果「A>B」、「C>D」であったとすると、決勝戦で「A△C」を行い、「A>C」の時は、Aが1位、Cが2位と決定され、さらに「B△D」という3位決定戦で「B>D」であったとするとDは3位となる。しかし、仮にコインAが100g、Bが90g、Cが20g、Dが10gであった場合[※]、このやり方ではAが最も重いことは確認できるものの、20gのCが2位、90gのBが3位となって、Bの重さの順位が不公平に判定されることになってしまう。本来、(準決勝勝ち上がりまでのあいだで)2位を決めるには、1位を除いた3者で2位決定トーナメントをやり直す必要があるが、上記の例ではすでに「C△D」という対戦は行われているので、残る「B△C」を2位決定戦として行うことで公正に2位を選ぶことができる。なお、2位決定戦でCが勝利した場合、さらに3位決定戦として「B△D」を行う必要がある。これはコインAが100g、Bが10g、Cが50g、Dが20gであった場合などに相当する。
[※]コインの重さは500円硬貨でも7.0gなので、ここで仮定した値は少々重すぎる。「コインの入った袋」に読み替えていただきたい。
繰り返しになるが、トーナメント方式というのは最強者(金メダル)を決定するための合理的な方式ではあるが、2位と3位を決める方式としては妥当ではない。そもそも、1回戦の時に、最強者と2番目に強い者が対戦した場合、2番目に強い者はその時点で敗退となり銀メダルを獲得することができない。【なので、いっそのこと、金メダルのみの表彰としたほうが公正公平であるように思う】。
- 今回の大会では男女混合の種目が倍増し、男女の区別なく競技を行う馬術6種目を加えて18種目になったと聞く。そのうち、男女が協力しながらプレーをする卓球やテニス、あるいはリレー方式で合計タイムを競う競走や競泳種目は大いに魅力がある。しかし、柔道のように男女が別々に出てきてそれぞれの階級で勝敗を競うというやり方では、単純に男女別の勝敗数を合計するだけであって、混合種目にする意味がよく分からなかった。
余談だが、京都で行われる都道府県対抗の高校駅伝を男女混合にしたらどうなるだろうか。男女別でアベック優勝した広島・世羅高校が最有力だろうが、岡山も女子の興譲館高校と男子の倉敷高校は十分に対抗できる実力があり、実現したら興味深い熱戦になりそうだ。
- 中盤に視聴した種目の中では、自転車男子BMXフリースタイルが面白かった。7月28日の日記でスケボー・ストリートについて、
各選手とも失敗が多く、結局、失敗せずに技を決められた選手がメダルを獲得するという結果になったように思う。あまり失敗が多いと、運が良かった選手が優勝するみたいな印象を受けてしまう。あと、審判の採点基準がイマイチよく分からなかった。
と述べたところであるが、こちらの自転車競技のほうは失敗が少なく、技も多彩で見応えがあった。但し、私が見た「シーディング」というのは翌日の決勝の出場順を決めるだけのもので、参加者全員が決勝に進むことが決まっている中で、何のために行われるのかよく分からないところがあった。アメリカの選手のうちの1人は全く技を見せず、翌日まで技を隠しておくためではないかとも解説されたが、実際、シーディングで事故でも起こすよりは何もせずに翌日に備えたほうが賢明かもしれない。【もっともそのアメリカ選手は翌日の決勝でも低得点・最下位であった】。
次回に続く。
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