じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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昨日の日記で、8月13日の朝5時50分時点の全国の天気予報から、沖縄と北海道を除いて、晴れマークが姿を消しているという話題を取り上げた。その翌日の8月14日朝の天気予報でも、沖縄と北海道以外の府県の予報からは晴れマークが消えており、また九州(沖縄を除く)、中国・四国、近畿、北陸・東海地域の府県では、1日中雨という予報になっていた。2日連続でこれだけ広範囲の雨の予報が続いているのはきわめて珍しいように思う。
なお画像左下にあるように、8月14日は、岡山(岡山市)のアメダスの装置が故障した模様で、雨量・気温・気圧などのデータが長時間にわたり欠測となっていた。原因は不明だが、この重大な時期に、県庁所在地の雨量が観測できないとはまことに情けない。岡山市のアメダスは岡大構内の南東端のあたりに設置されており、別段、危険な場所ではない。装置が故障した時のために予備の装置を設置するとか、職員が駆けつけて手動で観測すれば良いと思うのだが、それでは公式な観測にならないのだろうか。
追記]その後、午前5時台と6時台を除いてデータはほぼ復刻できた模様。
このほか、画像右下にあるように、リアルタイムレーダーが表示できない時間帯があった。大雨の緊急事態でアクセスが集中しても確実に情報を発信してもらいたいものだ。


2021年8月15日(日)



【小さな話題】追悼 海保博之先生

 海保博之先生が、8月9日、78歳にて永眠された。謹んでお悔やみ申し上げます。

 海保先生は東京教育大学ご出身で、筑波大学心理学系教授、東京成徳大学学長などを歴任された。私自身とは専門分野が異なるため、直接お目にかかったのは、日本心理学会の会場で執筆のご依頼をいただいた時の1回だけであった。
 しかし、数年ほど前、心理学関係の文献の検索中に偶然、海保先生の『心の風景 認知体験』というブログがあることを知り、以後、アンテナを通じてほぼ毎日拝読させていただき、時たま、ツイッターでリツイートさせていただいたこともあった。以前、こちらの方も言及しておられたが、SNSが普及してネットで発信する個人が増えたことで、そのぶん、発信者(執筆者)の方々のご逝去に接する機会が増えてきたことは確かである。面識が無くても、その方のWeb日記やブログを拝読していると、たまにしか会わない親戚よりも遙かに身近なところで生活しておられる方のように思えてしまう。そういう方が、お亡くなりになるということは、日々、自分でWeb日記を書いたり、日記読みを習慣にしている者にとっては大変寂しいことでもある。

 ということで、この追悼も、あくまで日記・ブログの読者という立場からのメッセージということになる。要するに、執筆された内容から知り得た範囲で故人を偲ぶということ、そのメッセージは自分の日記の中に記すだけにとどめる、ということだ。

 海保先生のブログは2種類あり、そのうち、『認知体験〜頭の働きを体験を通して考えるブログ〜』というブログは、2006年1月から9月頃に執筆されたあと、2006年9月に、『心の風景 認知体験』のほうに引越された。引越の経緯は、2017年7月30日の「このブログの歴史」の中に記されている。

 もっとも海保先生は、それ以前から別の媒体で日記を執筆しておられたようである。同じ日の記事によれば、
ブログの前は、「cognition & computer」というミニコミ紙。裏紙を使って研究の前の袋に入れて、「どうぞお読みください」というところからスタート。
そのきっかけは、在外研究でアメリカにいったときに日本にいた研究室の院生・はらださんに近況報告代わりに郵便で送っておいた記事を無駄にしたくないとの思いからであった。

その後、今のブログのタイトル「認知的体験」と名称を変えて週1くらいの頻度で続けてきた。

それがいつウエッブ上のブログに変わったか、おもいだせないが、これが、現在のブログに引き継がれている。
ということなので、相当長い執筆の歴史をお持ちのようであった。但し、そのあとの
gooブログは、もう30年は越えている。ほぼ毎日更新をしてここまで着実に愛読者を増やし続けている。いまや趣味の域を超えて生きがいである。笑い
というところの「gooブログは、もう30年は越えている。」という年数は、2006年9月開始の日付と矛盾する。たぶん「10年」の誤植ではないかと思われる。

 海保先生のブログの内容は、心理学についての分かりやすい解説のほか、教育問題、時事問題、日々の雑感など多岐にわたっていた。同じ日の記事によれば、執筆を続けておられる理由は、
  • 書くのが好きということ。
  • 書いたものを人に読んでもらうのが好きということ。
  • 気持ちをしゃきっとさせるのに最適ということ。
  • 発表した原稿や本を広く知ってもらえること。
  • 思わぬ人々とウエッブ上で知り合えること。
  • 私に関心のある人にメッセージを送ること
という点にあるという。
 時たま、アクセス解析もしておられて、アクセス数が増えることもお喜びの1つになっていたようである。

 ブログの執筆に大きな転換が生じたのは、今から4年ほど前の2017年10月18日であり、この日から「闘病日記」というブログカテゴリーが始まった。このカテゴリーに属するエントリーは全部で667回に及んでいる。
 あくまでご執筆内容からの推測になるが、大腸癌が発覚したときには、すでに「ステージ4、肝臓、リンパ転移あり」が確認されており、深刻な状態にあったようだ。
 その後、大腸癌の手術をされたが、肝臓への転移もあり、迷いは続く。2018年11月12日の記事では、
でも本当のうつの原因は、
手術するか
抗がん剤にするか
治療をやめるか
の判断なのだ。
と記しておられた。

 その後の闘病日記を拝見して感じるのは、抗がん剤の副作用が相当なものであるという点だ。その日の体調やご気分は、抗がん剤の影響に左右されてしまう。皮肉なことに、体調が悪い時のほうが抗がん剤がうまく作用しているという場合もある。私自身が同じような状況になった場合どうするか、延命優先であらゆる手段を尽くそうとするか、それとも「もうこれでよい」と見切りをつけて緩和ケア一本に絞るか、なってみないと分からないが、いずれそういう選択を迫られることになりそうだ。

 海保先生はポジティブ心理学もご専門の1つとされていた。但し、ブログの中では、解説記事が殆どであり、御自身の闘病生活にどう活かしておられるのかは、あまりよく分からなかった。もっとも、常に前向きであり、治療の進展についても楽天的な見方をしておられた印象はある。
 私は別段マズローの信奉者ではないが、闘病生活の中では、マズローの五段階説のうちの最下段、生理的欲求(「食欲」「排泄欲」「睡眠欲」など)の記述がかなりを占めておられるように思えた。しかしそうしてみるとなおさら、食欲を妨げる抗がん剤はQOLを著しく低下させる。実際のところ、「闘病」というのが、癌との闘いなのか、抗がん剤の副作用に耐える闘いなのか、このあたりも私自身の課題になるかもしれない。
 このほか、医療や通院、介護、デイケアなどについての記述も大いに参考になった。海保先生のような著名な方であっても、別段、優遇してもらえるということはなく、通院中は長時間待たされることがあるようだ。病院によっては予約システムがうまく機能していて長くても30分以内に診てもらえる場合もあるようだが、昨今のコロナ禍ではそうもいかないかもしれない。

 2017年7月30日の「このブログの歴史」によれば、海保先生は年2400円の有料会員として執筆を続けておられたようだ【こちらによれば、現在は月額税込524円?】。この先、このブログを同じURLで保存していくためには、ご家族のどなたかが会費を払い続ける必要があるのだろうか。墓所と同じような、ブログの永代管理のサービスがあるとよいのだが...。ちなみに、私自身のWeb日記は、HTML文書と画像の集合体であり、ハードディスクにも同じ内容が保存されているので、私の死後、ネット上での公開が停止されても、大容量のSDカード、USBメモリー、BDなどで永久保存することは可能。もっとも私の子孫の気分次第ではあるが。

 以上、まとまりの無い内容になってしまったが、これをもって、いち日記読み、日記書きとしての立場からの追悼メッセージとさせていただく。今後も、当該のブログが公開されている限りは、ときおり過去日記、とりわけ闘病日記のコンテンツを閲覧させていただきたいと思っている。