Copyright(C)長谷川芳典 |
|
10月15日の夜から16日の朝にかけてはよく晴れ、真夜中には月齢10.2の月の入り、早朝には備前富士の近くからの日の出を眺めることができた。このあと、私の住んでいるところからは、10月19日〜20日頃に、備前富士山頂からの日の出となる「ダイヤモンド備前富士現象」が見られるはずだ。 |
【連載】#チコちゃんに叱られる!「ナッツが美味しい理由」 10月15日(金)に初回放送されたチコちゃんの番組の考察と感想。この日は、
ナッツがなぜおいしいのか?というのは、基本的には食べる側の問題であろうと思う。ナッツには栄養分が豊富に含まれており、それを食べることはその人間・動物の生存にプラスに働く。よって、摂取時にポジティブな感情が生まれるがこれを「美味しい」と呼んでいるものと思われる。しかし番組では、食べる側ばかりでなく、食べられる側にとってのメリットのほうがが強調された。それが「土に埋めてもらいたいから」という説明であった。 まず、現在のナッツは、野生のナッツと異なり、人間がおいしい種類を厳選し品種改良されたものであると説明されたが、このこと自体、美味しさの一因にもなっていると言えよう。例えばミカンはなぜ甘いのか?というのも、人間が、ミカンが甘くなるように品種改良をした結果であると説明できる。 さて、このナッツだが、種が熟すと地上に落ちるものの、そのままでは乾燥して死んでしまったり虫に食べられたりする。そこで、地中に種を貯蔵する習性を持つリス、ネズミ、カケス、ホシガラスなどの力を借りる。彼らは冬に備えてナッツを地中に埋めて貯蔵するが、すべてを食べ尽くすわけではない。食べ残しが偶然地中に残ることで芽を出すことができる。 ナッツの種が無事に地中に埋めてもらうためには、
まず1.については、種を包む果実分を硬く、渋くなるように進化させた。なお、果物の多くは果実をまるごと食べてもらって糞と一緒にばらまいてもらうという進化をとげてきたが、ナッツの場合は、果実は普通、熟しても美味しくないものが多いとされた。もっとも、以前、ブラジル・レンソイスに行った時に食べたカシューナッツは果実もなかなかの美味であった。 次の2.については、種を巨大化し、動物たちが冬に備えて貯蔵するメリットを与えると説明された。じっさい、ナッツ類(ピスタチオ、アーモンド、どんぐり、栗、マカデミアナッツ、クルミなど)の種の大きさは、野菜・果物(ピーマン、りんご、すいか、レモン、さくらんぼ、かぼちゃなどよりはるかに大きいことが示された。もっとも、桃やアボカドなどは果実を食用にするが種もかなり大きいので一概には言えないように思う。なお種が大きいことは、乾燥した場所や暗い場所など過酷な環境でも育ちやすいというメリットもあると説明された。 3.については、「豊作・凶作を繰り返す」というメリットが指摘された。凶作は、天敵の虫の増加を防ぐということであったが、おそらく、ナッツを食用とする動物の個体数をコントロールすることにもつながっているように思えた。豊作は、動物たちが貯蔵する範囲を広げて、親木から遠くまで種を埋めてもらうというメリットをもたらすという。 以上のような「課題解決」の方略について、ゲストから「この木の実自体が自分の子孫を増やすことを考えているということは、考えもしなかった」と感想が述べられたが、「木が考える」というのは擬人的表現であり、科学的説明とは言えない。あくまで、変異により「熟す前の果実は不味い」「種が巨大である」「豊作と凶作を繰り返す」という性質を獲得した種類が結果として生き残り進化した、と考えるべきであろう。 この話題の終わりのところでは「ピーナッツはナッツではない。ナッツとは地上の木になる木の実のことだが、ピーナッツは地中で実るマメ科の草の実。」と補足された。今回の話題に対応させるならば、 ●ピーナッツはなぜ美味しいか? という疑問が新たに生まれるし、他にも、種ばかりでなく、芋類、 ●サツマイモはなぜ美味しいか? という疑問にも答えていく必要があるが、大概は、食料としている動物との共生、さらには人間による品種改良で説明できるように思われる。 次回に続く。 |