じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山では10月8日の20時頃から9日の3時頃にかけて前線の通過により強い雨が降り、合計降水量は24.5ミリとなった。この雨で、各所の金木犀が落花し、「花びらの絨毯」が見られるようになった。

2021年11月10日(水)



【連載】ヒューマニエンス「“イヌ” ヒトの心を照らす存在」(1) イヌのラテラリティ

 10月21日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。なお、これまでの放送リストはこちらにある。

 番組の初めのところでは、人類とイヌとの長い歴史について言及された。それによれば、
  • 10〜3万年前;オオカミとイヌの分化
  • 3万年前?:ヒトとイヌの共同生活開始?【ロシアのラズボイニクヤ洞穴で、約3万3000年前の地層からイヌ科の化石を発見】
  • 1万2千年前:ヒトとイヌの埋葬【イスラエルのアイン・マラッハ遺跡で、老婆と抱きかかえられたイヌの化石が発見。】
  • 約7千年前:縄文時代のイヌの埋葬
ということだが、いまなおイヌの飼育法は変化しつつある。イヌが特定の飼い主だけと関わるようになったのは50年前頃からであり、それまではハチ公のように放し飼いで飼われることもあった。特に最近は生活環境の変化により、家の中で飼われる犬も増えてきたようである。

 番組では続いて2014年にハンガリーで行われた実験が紹介された。イヌをfMRIの台に乗せてヘッドホンを装着し、飼い主の声にどのように反応するのかが分析された。ここで留意すべき点は、fMRIを使った分析は、チンパンジーやゴリラでは不可能であるということだ。なぜならMRIは狭い棺桶のような装置であり、しかも測定中はガタンガタンなど、異様な機械音が響く。チンパンジーやゴリラをそんな装置に入れたら暴れ出すか、パニック状態になってしまうだろう。といって麻酔をかけて眠らせてしまったのでは、音声に対する脳内変化を調べることができない。それに対して、イヌは、ちゃんと訓練すれば、ヘッドホンを装着しMRIの装置の中で10分間以上じっとしていることができるというからスゴイ。
 そのイヌに
  1. フラットな抑揚で「すばらしい」という褒め言葉を聞かせる
  2. ポジティブな感情を込めて、中性的な意味をもつ「そのような」という言葉を聞かせる
  3. ポジティブな感情を込めて、「すばらしい」という褒め言葉を聞かせる
というような3条件の音声を聴かせたところ、1.ではイヌの左脳の部分が反応、2.では右脳の部分が反応、3.では左脳と右脳の両方が反応し、かつ、イヌの報酬領域(人間で言えば、ドーパミンを出す大脳基底核に近いところ)も反応していることが確認されたという。

 ラテラリティの研究は、トンデモものや男脳・女脳の話を含めて時折耳にするが、いずれもヒトに関係するものばかりであった。イヌが、言葉の意味【おそらく弁別機能】を左脳で処理し、他者の情動を右脳で察知しているとすればスゴイことだ。もっとも、これは人間との関わりの中で生まれ育った動物だけの特性であるかもしれない。オオカミや野犬では、生まれ育つ中で聞き取る音声の種類はきわめて少ないゆえ、機能差は生じにくいのではないかとも思われる。

 次回に続く。