Copyright(C)長谷川芳典 |
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12月20日の夕刻、旧・京山タワーの左側(南側)に太陽が沈む様子を眺めることができた。12月14日の日記に記したように、今年の日没の方位が最南となるのは、冬至の日の前日の12月21日となる(241.7°)【←冬至の瞬間である12月22日午前0時59分に時間的に最も近い日没】。
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【連載】サイエンスZERO「鳥の言葉を証明せよ!“動物言語学”の幕開け」(4)人間と鳥との対話は可能か? 昨日に続いて、12月5日に初回放送された、 「鳥の言葉を証明せよ!“動物言語学”の幕開け」 についての感想・考察。本日が最終回。 番組の終わりのあたりで、鈴木先生は、シジュウカラの「言葉」が進化した原因として、森という生活環境を挙げておられた。
このほか、私が思うこととしては、「鳥は空を飛べる」ということも大きく関わっているように思う。鳥が大きな声でさえずるのは、天敵に音源を特定されてもすぐに飛び立って逃げることができるためである。これが、地上に棲む小動物であったとしたら、声を出せばすぐに天敵に見つかってしまう【←すぐ近くの巣穴に逃げ込めるマーモットなどは結構大きな声で鳴いていたが】。また、空を飛ぶ動物の場合は、複数個体が飛び回ったり、高速で移動したりしているため、他の個体との距離や方向を同定するには、視覚情報よりも聴覚情報のほうが有用であるという可能性がある。 もっとも、この連載でも何度か指摘したように、まずは、シジュウカラの発する鳴き声がオペラント行動であるのか、レスポンデント行動であるのかを見極める必要があるように思われる。
なお、これもすでに指摘したことだが、話し手(発信者)がどういう音声を発するのかということと、聞き手(受信者)がそれをどう利用するのかというのは別も問題である。例えば、
[※]この場合、「2語文」をどう説明するのか、という問題が残るが、発信者側の「語順」はおそらく生理的な状態の変化に依存したもの、受信者側の「理解」は、「まず話し手に耳を傾ける→次にその話し手の鳴き声の種類を弁別する」という順序に依存したものと解釈できるだろう。 あと、番組終わりのところで小島瑠璃子さんが「動物と人間が一緒に話す言語が新しく作れるかもしれない」と述べておられたが、私はかなり否定的である。少なくとも自然環境の中で鳥たちが「話す」言葉というのは、その環境の中で生き延びていくために有用な事象のみに対応しているのであって、森林の中を自由に飛び回り、かつ猛禽類やヘビなどを天敵としている鳥類と、地上を動き回るだけの人間ではあまりにも共通点がなさ過ぎるように思う。コミュニケーションは、話し手(発信者)の発する刺激が聞き手(受信者)にとって有用である場合に限り成立するのである。 番組では、モザンビークで、ミツオシエという鳥が蜂の巣の場所を教えるというエピソードが紹介されたが、これも相互の強化の結果として説明できそうだ。 もちろん、ペパーバーグが研究したように、人工的な環境で飼育をすれば、人間と動物との間で、もっと能動的なコミュニケーションが交わされる可能性はあるとは思う。もっとも現段階では、インコはなぜ言葉をしゃべるのか?【←チコちゃんに叱られる】に対しては、「飼い主を愛しているから」、つまり、求愛行動の一環としてのさえずりと考えるのが妥当であるように思う[※] [※]この時のチコちゃんの放送はあいにく視聴しておらず、録画もできていないが、TVでた蔵の記録によれば、 鳥のコミュニケーション方法を研究している藤原宏子氏を訪ねた。藤原氏は2羽のつがいが鳴き交わす声を録音し、声紋を比べたところつがいになった5週間後オスの声紋がメスそっくりになっていた。メスはもともと自分の声に似たオスに惹かれるためオスが上手に真似をすればするほど絆が深まるという。ペットのインコは飼い主をつがい相手とみなしているため、人間の言葉をしゃべるようになる。というような説明がなされたようである。 |