じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 おかやまケンコー大作戦の3年間の事業期間が12月31日に終了した。
 最終年の2021年には4回の仮想ウォーキングラリーが行われ、最終結果は画面の通りとなった。
  1. 東海道五十三次 期間中の私自身の平均歩数 8648歩
  2. 富士山麓から東京 8673歩
  3. パリ 8633歩
  4. ハワイ 9694歩
私自身は一日8000歩を基準としていたため、ウォーキングラリーの影響はあまり受けなかったが、4番目のハワイの時は、ウォーキングコースを拡張して意図的に歩数を増やしてみたところ、全体の順位が、1番目〜3番目の時の1077位から1203位より大幅に上昇し、896位となった。但し、この4番目のコースは、1日あたり10915歩を歩かないとゴールできないという設定になっていたため、ゴールの手前で終了となった。

 4月以降も何らかの健康増進事業が新たに開始されるということだが、引き続き、ウォーキングの成果が反映されるような内容にしてもらいたいところだ。


2022年1月19日(水)



【連載】瞑想でたどる仏教(25)魔事境

 昨日に続いて、NHK-Eテレ「こころの時代」で、4月から9月にかけて毎月1回、合計6回にわたって放送された、

●瞑想でたどる仏教 心と身体を観察する

のメモと考察。

 前回までのところで、瞑想中に起こるマイナスの反応として、煩悩、思覚、業相境に言及してきた。『摩訶止観』ではもう1つ、「魔事境」が生じることがあるという。
 魔事境は瞑想中に現れる幻覚であり、煩悩や業相境に比べると魔事境を起こす人はそれほど多くはない。誰でも起こりうるが誰でも起こすというわけではない。但しそれを起こすと大変で、その人の心を壊すと言われている。蓑輪先生がご存じの例では、小さい頃から瞑想をしていた人が、ある時からヘビが現れるようになり、瞑想以外の時間でもじぶんの周りにヘビがまとわりついているように感じるようになったとのことであった。
 魔事境で特に厄介なのは「天魔」であり、代表的な例としては以下のようなものがある。
  • たいてき鬼(「たい」はりっしんべんに「追」、「てき」はりっしんべんに「易」。「堆剔鬼」と表記されている文献もあるようだ):
    普段は目に見えない小さな妖怪であり、体にまとわりついて悪さをする。→むかし夜叉であったので、「お前を知っているぞ、お前は夜叉だ」ときちんと把握すれば消えていくという。
  • 時媚鬼(じみき):
    十二支の動物の姿で現れ、気を引こうとする。蓑輪先生が挙げた「ヘビがまとわりつく」という事例もこれに含まれている可能性がある。→全部で36種類あり、どのタイプであるか把握すれば消えていく。
  • 魔羅鬼(まらき):
    姿は定かではなく、とりつかれると命を落とすこともある。→まずは叱りつけなさい、それでもダメな時は、つま先から頭の上までしっかりと観察しなさい、それでもダメな時は強い心で拒みなさい、と記されている。
 これらの対処法の共通点は、「相手の素性を知ろうとしてしっかりと把握する」であり、ブッダが述べた念処(注意を振り向けしっかりと把握すること)そのものであると指摘された。

 ここからは私の感想・考察になるが、魔事境に挙げられている魔物や妖怪のようなものは、あくまで当人が過去の体験・記憶を合成した幻覚であり、曖昧なイメージを、既成の宗教的概念に対応させて言語化しているだけのように思われる。それゆえ、宗教的な前提にとらわれている人、CGを駆使した映画にはまっている人、あるいはRPGで日々モンスターと戦っているような人で顕著に表れるものではないかと思われる。但し架空の存在を信じない人でもヘビの実物には接しているゆえ、ヘビにまとわりつかれるというような幻覚が生じることはありうる。
 幻覚が生じるのは、過度な睡眠不足、感染症の重症化、臨終間際などいろいろ考えられる。修行僧は過酷な環境で体を酷使しているため、当然、そのような幻覚が生じやすくなるものと思われる。但し、脳の器質的な疾患や統合失調などが原因となる場合もありうるので、宗教的な手段だけで解決しようとするのは危険であるように思う。

 次回に続く。