じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 6月1日の明け方03時09分頃、東の空で木星と火星が接近して見えていた。5月30日に比べると、火星の位置が木星の右下から左下方向に移動し、だいぶ離れてきた。
 この時期に火星が左方向に動くのは、火星自体の公転ではなく、地球の公転により、木星より手前の位置にある火星が木星の東方向にずれて見えるようになったためと思われるが(右側の車窓から電柱と遠くの山を眺めた時は、電柱は右方向にずれていく)、直観的には西方向にずれていくはず、という気もする。
 なお日々の動きはこちらに示されている。やはり火星は木星の北東方向(太陽の方向)に移動していくようだ。

2022年6月1日(水)



【小さな話題】雑学系YouTubeを楽しむ『平均寿命が延びた理由』『光速を超えて膨張する空間』『三大作図問題』

 最近視聴した雑学系YouTube(「ゆっくり解説」提供)の備忘録と感想。
  • 9割が知らない科学のトリビア3選

     「平均寿命の増加は、人間の寿命の限界が延びたことが原因ではない。早死にする人を救っているから延びた」というのは確かにその通りかと思う。衛生環境の改善、医療技術の進歩、ワクチンの開発、感染症の予防などによって平均寿命は大幅に延びたが、どんなに健康を維持しても、普通の人で100歳、センチナリアンと呼ばれる人でも115歳までしか生きられない。
     「アインシュタインの相対性理論は光速を最速としているが、“空間”が光速を超えて膨張することは認めている」という話題もなかなか興味深い。相対性理論は正確には、
    ●「固定空間内」で「質量を持つ物質」が光より速く移動できないとしか言っていない。
    ということであるそうだ。であるなら、地球から遠ざかっていく天体が、地球と比較して時間が遅れるとは必ずしも言えないようである。もっとも膨張している宇宙空間の中で「固定空間」というのが何を意味するのかよく分からない。
    空間が光速を超えて膨張している場合、遠く離れた物体は光速を超えて離れているように見えるかというと、実際は光速以上で動く“空間”という乗り物に乗っているため、物体は空間に対して止まっていることになるというが、これも直観的に理解することは難しい。ま、どっちにしても光速を超えて遠ざかっている物体からの光は観測者に届かないはずだが。
  • 小学生でも理解できるのに2000年未解決だった作図問題

     ここでいう「小学生でも理解できる」というのは、問題文自体が何を言いたいのかは理解できるということ。例えば、「ヤン-ミルズ方程式と質量ギャップ問題」というのは問題文自体が何を言っているのか、素人には全く理解できない。いっぽう、フェルマーの最終定理は中学生でも何を言いたいのか理解できる。ここで取り上げられているのは、「ギリシアの三大作図問題」であった。但し、これは「未解決」というより「作図できないことが証明されている」という問題である。三大作図問題とは
    1. 与えられた円と同じ面積の正方形を作図せよ。
    2. 与えられた立方体の2倍の体積をもる立方体を作図せよ。
    3. 与えられた角を三等分せよ。
    であり、私も中学生の頃に聞いたことがあった。私自身を含めて、クラスの数学好きが角の三等分問題に挑戦したことがあり、そのうち誰それが解けたという話が伝わって騒がれたりしたが、実際はどこかで誤りをおかしていることが判明した。
     リンク先では「作図可能な図形とは何か?」が分かりやすく説明されていた。定規を使うというのは「点と点を結ぶ」、コンパスを使うというのは「点から円をかける」と言う意味であるが、それ以前の前提として「少なくとも1つの点が存在する」が必要。点が存在するというのは、座標軸上に1つの点を置くということであり、作図可能とは、
    • 直線と直線の交点
    • 直線と円の交点
    • 円と円の交点
    のいずれかにより、新たな点を指定できるという意味になる。直線と直線の交点は連立1次方程式を、直線と円は1次と2次の連立方程式、円と円との交点は連立2次方程式を解くことになり、この連立方程式で得られない解がある作図問題は作図不能ということになる。
    • 上記1.の円と正方形にかかわる作図問題では、1882年に「有理係数の代数方程式の解として円周率が出てくることはない」ことが証明されているため、面積πの正方形を作図することはできない。
    • 上記2.の立方体問題では、体積が2倍の立方体の辺の長さは、x3=2という3次方程式の解となるため、1次や2次の連立方程式の解にはならないので作図できない。
    • 上記3.の角の三等分問題では、元の角をθとすると3等分された角はθ/3となるが、これを求めるには、

      4[cos(θ/3)]3−3cos(θ/3)−cosθ=0

      という3次方程式を解く必要があるため、やはり作図できない、と説明された。
 上記のうちの作図問題のところで、ふと、

●与えられた直線のπ倍の長さを持つ直線を作図することはできるか?

という問題が頭に浮かんだ。もしこれが、

●与えられた直線のπ倍の長さを持つ曲線を作図することはできるか?

であれば、何ということはない。与えられた直線の中点を求めて、それを中心とする円を描けばよいだけの話だが、これを同じ長さの直線に置き換えることはできるのだろうか?