じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 ソースネクストのセールのページに『広告をブロック!無料ブラウザ「Brave(ブレイブ)」』という広告があった。セールなのに無料というのは妙だと思ったが、ウィキペディアなどでさらに調べてみると、
Brave(ブレイブ)は、Brave Softwareによって開発されているウェブブラウザである。Chromiumをベースとしており、Windows、macOS、Linux、iOS、Android版が存在し、オープンソースで開発されている。広告とトラッカーをブロックする機能を標準装備し、ユーザーのプライバシーの保護、そして高いパフォーマンスを実現できることを売りにしている。
と説明されており、さっそくインストールしてみた。
 私が閲覧するサイトの中で特に広告が多いのは、毎日1題ずつ解いている詰め将棋であり、出題画面に行き着くまでに少なくとも3回、ポップアップ型の広告が表示されうっとうしく感じていた。しかも、「開始」ボタンをクリックする直前に広告画面が広がって、こちらが望んでいないのに広告画面を誤ってクリックするように誘導されてしまうことがあり、非常に腹が立つ。しかも広告内容は私には全く興味の無い商品等ばかりであった。Braveで同じ操作をしたところ、確かにポップアップ広告は撃退されており、快適に詰め将棋を始めることができた。
 このほか、NHKプラスも視聴可能であること、Webメールの送受信ができることなども確認できた。

 このBraveはどうやって収益を得ているのかと疑問に思ったが、ウィキペディアによれば、
Braveは新しいビジネスモデルを構築している。Braveは広告をブロックする代わりに自身でプライベートな広告を配信しており、Braveユーザーは、Braveの配信する広告を閲覧するかどうかを自分で選択することができる。表示を選択した場合は広告料の70%がユーザーに分配される。Braveの配信する広告は、Webコンテンツとは別に、通知または新しいタブの背景画像・ニュースとして表示される。

ウェブサイトが分配を受けるためにはBraveプロジェクトに参加する必要があり、審査を受けなければならない。Braveはすべての広告をブロックするわけではなく、トラッキングを行わず、パブリッシャーのデータのみを使用する広告はそのまま表示される。Braveが挿入する広告は、ブラウザのパフォーマンスに大きく影響せず、個人データを使うターゲティングも行わないものに限られる。また、ユーザーがウェブサイトに対して寄付を行うシステムもある。これらの決済にはBrave Paymentという匿名のシステムが利用される。
【中略】
Basic Attention Token(BAT)とは、オープンソースの分散型広告交換プラットフォームと暗号通貨で使用するために作成されたERC-20トークンであり、Braveブラウザ経由で使えるユーティリティートークンである。 Brave ブラウザからの広告(Brave Ads)を見た場合、閲覧の報酬として BAT を受けとることができる。また「Brave Rewards」を利用してコンテンツ製作者にTwitterやYouTube等でチップとしてBATを送れる。
などと説明されていた。
 でもって、もしネット利用者の多数がBraveで閲覧するようになると、従来型の「無料サイト+広告」という収益モデルは成り立たなくなる。その場合、Braveでは閲覧できないような仕掛けを作ったり、他のブラウザでもBraveと同じようなビジネスモデルを採用する可能性があり、この先どうなるかは予測できない。私自身としては、当面、ポップアップ広告でウンザリするサイトの閲覧にBraveを使おうかと思っている。


2022年7月13日(水)



【小さな話題】「素数砂漠はいくらでも作れる」「史上最短の入試問題」

 最近YouTubeで閲覧した数学系雑学サイトの備忘録と感想。今回は鈴木貫太郎さんのチャンネルから。

 まず、なるほどと思ったのは、素数が連続して出現しない区間はどれくらい?素数砂漠のお話

というお話。素数が無限に存在することの証明(有限であると仮定してそれらすべての素数を掛け合わせて1を足した数は新しい素数になるという証明法)は中高生の頃に教わって知っていたが、素数が連続して出現しない区間(素数砂漠)をどうやって作れるかについては知らなかった(もしくは、すっかり忘れていた)。

 上掲のサイトで紹介されたのは、例えば、100個連続して素数が連続しない区間というのは、

Q=2×3×4×5×6×・・・・・101

とすると、Q+2からQ+101までの連続した数は、2から101までの約数を順番に1個以上含むのですべて素数ではない。
 上記はn=100の場合であったが、nを1億、1兆、1京、...というようにどんなに大きくしても、Qを

Q=2×3×4×5×6×・・・・・n×(n+1)

としたときの、Q+2からQ+n+1までの区間では素数は存在しないことが分かる。




 同じく鈴木貫太郎さんのチャンネルの中で、「史上最短の入試問題」というのがあった。史上最短というのは「問題文の文字数が最も短い」という意味であり、京大の入試問題(2006年)として出題された、

tan1°は有理数か

というのが未確認ながら最短であるようだ。この問題に対する最短文字数の解答は「否」ではないかと思われるが、解答用紙に大きな文字で「否」とだけ書いた場合に何点貰えるのかどうかは定かでは無い。

 実際の解答は、tan1°を有理数であると仮定すると、
  • tan1°=n/mと表すことができる(n、mは整数、m≠0)
  • そうすると、倍角公式より、tan2°、tan4°、tan8°、tan16°、tan32°、tan64°もすべて分数で表されるので有理数になるはず。
  • そうすると加法定理から、tan(64°−4°)も有理数になるはずだが、実際は√3という無理数になるので矛盾する。
という背理法であっさりと証明できる。

 ここで√3が無理数であることは自明としてよいのかどうかということになるが、入試問題の解答としてはおそらく証明不要としておられた。
 仮に√3が無理数であることまで証明する必要があった場合、伝統的な証明法としては√3=b/a (aとbは互いに素)とした上で両辺を2乗するとb2/a2=3となって、aとbが互いに素であるという仮定に反応するという背理法があるが、鈴木先生の別の解法は、

3a2=b2

という等式において、【2乗した数の素因数は必ず偶数個になるはずなのに】左辺の数では素因数3は奇数個、右辺は偶数個となっていて矛盾するというものであった。但しこの場合、素因数分解の一意性が前提となっている。

 なお上記の問題については、こちらに、

●tan1°、sin1°、cos1°が無理数であることの証明

がまとめて紹介されていた。なお、元の問題を一般化して、

●tanX°が有理数となるためのXの条件を述べよ。

という問題も可能だが、簡単に解けるのかどうかは分からない。

 次回に続く。