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自家製の色覚テスト。
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【小さな話題】色や文字の見え方の不思議(4)色を見分けるテスト 昨日に続いて、YouTube動画で取り上げられていた色覚に関する話題。今回は、以下のような動画で取り上げられている「色を見分けるテスト」について考察する。
どれだけの色を見分けられるかについては、私が子どもの頃は小学校で色覚異常検査が行われ、色が見えにくいと「色盲」「色弱」などと判定され、大学での一部の分野への進学や就職に不利な扱いをされていた。しかしウィキペディアにも記されているように、2017年には日本遺伝学会が、ヒトが持つ多様な色覚に着目した「色覚多様性」という概念を提唱し、「色の見え方はひとによって多様であり、color blindnessは色覚多様性のひとつである」とし、バリアフリー化が進んでいる。ちなみに、リンク先によれば、先天性色覚異常を持つ人は、日本においては男性で約5%、女性で約0.2%の割合であるが、フランスや北欧では男性で約10%、女性で約0.4%であり、アフリカ系の人では2 - 4%程度であるという。 いっぽう、先天性色覚異常とは別に後天色覚異常というのもある。リンク先によれば、原因としては、加齢による水晶体の黄変(白内障)、網膜の視神経の劣化、網膜疾患、緑内障、視神経疾患、大脳疾患、心因性要因などがあるという。視力の衰退と異なり、色が見えにくくなっているのかどうかは自分では気づきにくい。というのは本当は色は見えていなくても、色の恒常性などの「脳の補正」によって若い時と同じように色が見えていると思ってしまうからである。そういう意味では、上記の動画に頼ることなく、医学的な根拠に基づいた後天色覚異常についての早期の診断が行われるべきであると思う。 ちなみに、上記の動画のような色覚検査は、Web上でも簡単に作ることができる。例えば、<font color="#FF00FF">■</font>という色指定によりピンク色の正方形を5個並べてみる。 ■ ■ ■ ■ ■ このうちの1つの色のRGB値を<font color="#FFA0FF">■</font>というように少しだけ変えてみる。以下では2番目の正方形が異なった色になっている。 ■ ■ ■ ■ ■ 上掲の動画でも、自家製の色覚テストでもそうだが、私自身は今のところ、視力低下は著しいものの、色覚のほうは若い時と比べてそれほど衰退していないように見える。但し、こちらのテストでチェックした所では、同じレベルでも見分けにくい色と全く見分けられない色があり、もしかすると3種の錐体細胞のうちの1つ、もしくはそれに対応した視神経が劣化している可能性はあるかもしれない。 ところで、視力(識別能力)の場合は屈折矯正によりある程度の改善ができるが、色が見えにくい場合にもそのような方法はあるのだろうか。あくまで素人判断だが、3色型色覚で特定の色の錐体細胞が劣化したような場合は、フィルターで特定の波長の色を強めることができれば補正は可能であるように思われる。いっぽう、2色型色覚を3色型色覚に補正することは、2次元空間だけで3次元空間を表現するようなものであり理論的に困難と思われる。 いっぽう、この日記の一番上の画像などもそうだが、画像処理アプリで補正すると、色の違いが見えやすくなる場合がある。なので、上掲のような緑色の背景に「314」と記した数字なども、一般の人には見えにくいからといって、暗号の代わりに使うことはできない。 次回に続く。 |