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北九州の街角にあるマネキン人形が早くもクリスマスバージョンになっていた。この人形はとてもリアルであり、しかもごく自然なポーズで座っているため、通り過ぎたあとで「あれ?」と振り返ってしまうほどである。 |
【連載】ヒューマニエンス「“数字” 世界の秘密を読み解くチカラ」(3)花びらの数とフィボナッチ数 昨日に続いて、11月15日に初回放送された、 NHK ニューマニエンス「“数字” 世界の秘密を読み解くチカラ」 についてのメモと感想。 放送の後半ではアラン・チューリングに由来する「多細胞生物の個体発生における形態形成」や「数理生物学」に関する話題が取り上げられた。 後半から出演された近藤滋先生(大阪大学)によれば、01で表すコンピュータに比べると生物というのはアナログに見えるが、じつはそのもっとの根本となる遺伝子(塩基配列)、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4つで構成されている。もともとはATとGCでペアになっているため、2進法を2回入れ子にしたような構造になっているという。2進法という点ではコンピュータも遺伝子も変わらない。 続いて取り上げられたのが、花びらの数の法則であった。自然界の多くの植物では、花びらの数は、 1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、... というフィボナッチ数列の値をとるという。じっさい、いろいろな植物の花びらの数を数えてみると、一番少ないのは1枚で、続いて2枚、3枚、5枚、...となり55枚の花びらをもつものもあるという。 ここでいったん私の考えを述べるが、放送で紹介された花の写真のうち、花びら1枚という植物はカラーに似ていた。もっともカラーで花びらのように見えるのは仏炎苞であり、花びらの数の例に該当するのかどうかは分からない。 次に、4枚の花びらを持つアブラ科はどうなる?という疑問がある。また、チューリップは花びら3枚、萼が3枚で合計6枚となっているが、これは花びら3枚の植物に含めてよいのか?という疑問がある。 いっぽう、花びらが55枚として紹介された花はガーベラに似ていた。ネットで検索したところこちらに、ガーベラのほか、ヒマワリの筒状花の数についての話題が取り上げられており、 ヒマワリやガーベラの筒状花も、フィボナッチ数に従い規則正しく螺旋状に並んでいる。ヒマワリの筒状花は、中心から外側に向かって右巻きに89本の螺旋、あるいは144本の左巻きの螺旋になっている。ガーベラはヒマワリより螺旋の本数が少なく、右巻き34本、左巻き55本だ。と記されていた。なおこのことで初めて知ったが、ガーベラやヒマワリの花びら(筒状花)というのは、円環状ではなく螺旋状に並んでいるという。 フィボナッチ数の話はネット上でも各種提供されている。こちらによれば、松ぼっくりの鱗は反時計回りに13回、時計回りに8回、螺旋状に並んでいるという。リンク先に解説されているように、フィボナッチ数というのは、1辺の長さが「1、1、2、3、5、8、13、...」という正方形を螺旋状に敷き詰めることができる性質をもっており、また、植物の葉も茎の成長とともに螺旋状に葉をつけることで葉同士が重ならずに光合成の効率を上げる仕組みになっているという。 リンク先にはまた、フィボナッチ数列の基本とも言える「ウサギの殖え方」についての説明もあった。これは、親ウサギが子ウサギを産み、次の段階では元の親ウサギのほか成長した子ウサギも子どもを産むということでどのように殖えていくのかを数列で表したものである。 花びらの数も、ウサギの殖え方(←但し、あくまで仮想の話)もそうだが、フィボナッチ数列の法則に支配されたそうなったというよりは、もっと単純な前提で現象が起こることで「結果としてフィボナッチ数になった」と考えるのが妥当であろう。 なお前にも指摘したように、こうした現象は人間の存在とは独立して生じるものであり、人間が発明した「数字」の話題とは全く関係が無いし、ヒューマニエンスのシリーズで取り上げるべき話題になるのかどうか疑問を持たざるを得ないところもある。 次回に続く。 |