じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 日没後の南西の空には、宵の明星として姿を現した金星と、12月22日に東方最大離角となる水星が並んで見えているはずなのだが、双眼鏡で探索した限りでは、明るい星1つしか見えていない。この星はかなり明るいので金星ではないかと思うのだが、そうすると左上のほうに水星が見えるはずだが見つけることができなかった(12月14日同様、左上のかなり離れたところには星が1つ見えているが、水星であるにしては高度が高すぎるし、金星から離れすぎているように思われる)。いっぽう、これが金星でなく水星であったとすると、その星の右下にもっと明るい金星が見えているはずだがそのような星は無い。引き続き観察中。

2022年12月20日(火)



【小さな話題】NISA拡充と日本経済への影響

 12月14日放送の日経モーニングプラスFTで、「個人投資向け拡充税制 使い方や市場への影響」という話題を取り上げていた。すでに隠居の身の私ではあるが、まだまだ老後の生活の保障と旅行費用捻出等のためには資産運用が必要であり、今回、どのような改革が行われるのかについては関心を持たざるをえない事情がある。
 放送では、大和総研・主任研究員の是枝俊悟さんと、ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジストの井出真吾さんが出演され、現在検討されている改正案と日本経済への影響について、分かりやすく解説しておられた。

 それによればまず、NISAについての政府の目標は、今後5年間で口座数を約1700万から3400万へ、投資額を約28兆円から56兆円に倍増することが掲げられている。具体的には、
  1. 一般型NISAで5年間、積立型NISAで20年とされていた非課税保有期間を恒久化する。
  2. 一般型NISAと積立型NISAの併用が可。
  3. 売却枠の再利用が条件つきで可能に。
  4. 一般型NISAで120万円、積立型NISAで40万とされていた年間投資枠を、それぞれ240万円と120万に拡大する。
  5. 一般型NISAで600万円、積立型NISAで800万とされていた合計の非課税限度額を、合わせて1800万円に拡大する。そのうち成長投資枠は1200万円まで。
となっている【一部、放送されなかった追加情報を含む】。この案の通りに改正された場合、一人あたりの非課税枠は最大で3600万になるということで、夫婦2人暮らしであれば非課税枠は最大で3600万円となり、住宅ローンなどの借金が無ければ、この非課税枠だけで何とかやっていける程度の老後資金を確保することができるようだ。

 こうした改正案についてゲスト解説者は、「恒久化になった点が大きい」、「海外事例、例えばイギリスの制度と比較しても遜色ない。」といった感想が述べられた。上記3.の売却枠の再利用については、例えば若い人が、積立型NISAで積み立てた資金を住宅購入のために使い、その後今度は老後資金の積立に再利用するといったメリットがあると指摘されていた。

 NISA拡充が株式市場に与える影響について論じられた。是枝さんからは、現在のNISAのもとではおよそ3兆円が6兆円ぐらいに倍増する可能性があると指摘された。もっとも、このうち国内の株式市場にまわる分はよくて半分ぐらいと見込まれている。個人金融資産は200兆円、そのうち預金が1000兆円と言われているが、富裕層が保有する分は今回のNISA改革の枠外の課税資産が多いので移動は起こらない。中間層が持っているお金は300兆か400兆円なので、そのうちの1割程度の30兆円〜40兆円が時間をかけながら動き出す可能性があると指摘された。
 このほか、積立型NISAが日本株の投信にあてられれば日本の株式市場の下支え要因になる。但し、海外に投資されればその効果が無いので、いかに日本株の魅力を伝えるかが重要なカギになると指摘された。

 さらにNISA拡充をきっかけに若い世代が株主になれば企業側の経営も長期的な将来目線で取り組まれるようになるという副産物が期待されるという。放送で提示された資料によれば、日本株の最大保有者は、かつてのバブル期は50歳代が最も多く1989年には60.1兆円を保有しており、続いて60歳代、40歳代、70歳代、30歳代という順になっていた。それが2019年では、70歳代の保有が80.2兆円、全体の41%を占めてトップとなっており、以下、60歳代、50歳代、40歳代、30歳代というように、年齢の高い世代ほどより多くの日本株を保有するという右肩上がりになっている。確かに、こういう状態では、高齢の株主は目先の利益を優先する可能性があり、それらの声を反映して経営がなされると企業の長期的な発展は期待できなくなる。
 もっとも、この「若い世代が株主になる」というのは、NISA拡充によって直接もたらされるものではないし、仮に若い人が株主になってもデイトレに没頭したり、海外投資、FX、暗号資産などに投資を集中するようになれば、日本企業の長期的な成長には繋がらない。上記の話は、バラ色の夢物語に近い期待できるように思えた。

 放送ではこのあと、富裕層に対する課税強化の話題も取り上げられた。もっともこの検討案はまだまだ進行中であり、放送時点では所得30億円超の富裕層への課税が検討されていたが、これはかなりの富裕層に限られている。今後、もう少し低い所得層への課税が検討される可能性もあるが、すべての所得層への増税にはならないので全体としては良い方向になっているとされた。

 ここからは私の感想・考察。放送でも指摘されていたように、これまでのところ、NISAの制度が始まって以降はまだ一度も本格的な下落相場は経験されていないというが、将来的に、日本周辺での地政学的リスクが高まったり、先進各国で自国優先主義を掲げる政権が誕生したり、日本列島が大震災で大きなダメージを受けたり、またあり得ないとは思うが核戦争が勃発したりすれば、今後、NISAで殖やした資金が一夜にして失われる可能性がゼロとは言えないとは思う。といってもその規模の大事件が起これば年金制度も崩壊し、また物価も大混乱となり、せっかく殖やした資金に頼って生活することはできなくなるかもしれない。そうなれば唯一の道は、ポツンと一軒家のような環境で自給自足の生活をすることだが、これまた楽ではなさそう。ということで、手持ちの資金を拡充されたNISA枠につぎ込むというのは、何を選んだとしても結局はギャンブルにならざるを得ないようには思う。
 ま、それはそれとして古希を迎えた私が、この先積立型のNISAにお金をつぎ込んで何に使うのかという話になるが、ま、いつでも売却できるというのであれば、(病気・事故・災害などの)不測の事態に備えた資金、あるいは余裕があれば海外旅行にでかける資金として、一定額を積み立てていくことは損にはならないとは思う。

 とりあえず2023年は現行の制度が続くようなので、様子を眺めながら新制度への対応を考えていくことになる。