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松本零士『男おいどん』のエピローグ読み切り編。著作権侵害で訴えられても困るので、画像全体をぼかした。なお、この画像は単行本ではなく、週刊誌で発表された当時の作品を切り取って保存していたもの。単行本6巻に収録されている『遥かなる前世紀』と同一内容と思われるが、週刊誌掲載のタイトルは『おいどん 地球を掴む〜大野蛮人時代〜』となっていた。
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【小さな話題】松本零士さんご逝去:『男おいどん』と『銀河鉄道999』 各種報道によれば、漫画家の松本零士さんが、今月13日、急性心不全のため東京都内の病院でお亡くなりになった。85歳。 松本零士さんの作品は、学部&大学院&研修員の頃に愛読しており、またアニメの『銀河鉄道999』を視るために放送時間に合わせて生協食堂のテレビの前に座って夕食をとっていたこともあった。 もっとも、松本零士さんの作品の中でハマっていたのは、『男おいどん』の連載漫画と、『銀河鉄道999』のTVアニメ版、及びアニメ放送のあとから買い揃えた単行本だけであり、それ以外の代表作品と言われる『宇宙戦艦ヤマト』は拝読していない。またTVアニメのほうで感動していたため、映画版の『銀河鉄道999』は興行優先で改変されたような印象を受けてしまい、いったんは録画したものの途中までで観るのを止めてしまった。ということで、私自身は松本零士作品全体について語れる立場にはない点をお断りしておく。 さて、まず『男おいどん』であるが、リンク先によればこの作品は、『週刊少年マガジン』(講談社)誌上で1971年5月9日号から1973年8月5日号まで連載された。私にとっては、学部1回生〜3回生の頃に相当する。主人公の大山昇太の生活に比べれば遙かに恵まれていたとはいえ、私自身も下宿生活を送っており、それなりに共感できるところもあった。また同学年には、大山昇太の「下宿館」そっくりの古い集合住宅に暮らしている友人もいた。 『男おいどん』は決して夢を与えてくれるような内容ではなかった。入れ替わり立ち替わり美女が現れる点は『寅さん』のマドンナとも似ているが、大山昇太には寅さんのような魅力は無い。まさに「無芸大食人畜無害」であった。 連載の最終回を収録した第6巻が手もとにないので詳細は忘れてしまったが、ネット上の記事によれば、 ある夏の日の午後、おいどんは突然姿を消してしまった。しかし下宿館のバーサンは主なき大四畳半に残された“守り神”を見て安心する。大丈夫! おいどんはこの大四畳半に必ず帰って来る……!となっており、私の記憶では、下宿館のバーサン(山田マス)は大山昇太の部屋の明かりを消さずに帰りを待っているというような終わり方であった。 以上だけでは夢も希望も無い展開であるが、上掲の画像が示すように、『男おいどん』には『おいどん地球を掴む』(単行本収録時は『遥かなる前世紀』にタイトル変更?)という続編がある。これは松本零士さんが講談社出版文化賞を受賞したことを記念した特別プレゼントとして掲載されたもので正式な続編&最終回と見なせるのかどうかは分からないが、「大山降太の三代ぐらい前の先祖」として大山昇太が描かれていることからみて、大山昇太はいったん下宿館から姿を消して行方不明になったものの、その後結婚して子孫を残していることが証拠づけられるという点では元気づけられる展開となっている。 なお、大山昇太とよく似た人物は、TVアニメ『銀河鉄道999』の中の第60、61話『大四畳半惑星の幻想』にも登場する。但し、そのキャラは『男おいどん』ではなくて『元祖大四畳半大物語』(1970年6月27日号から1974年2月9日号まで連載、別冊漫画アクション)であったようだ。 次に『銀河鉄道999』のTVアニメであるが、こちらは、フジテレビ系列で、1978年9月14日-1981年3月26日に全113話+テレビスペシャル3話が初回放送されたという。私自身で言えば、大学院生および研究員(←オーバードクター)の時期であった。この時期は下宿にもテレビを置いていたはずだが、実験などで忙しく放送時間帯に下宿に戻ることができなかったため、当時生協食堂内にあったテレビで視聴することが多かった。もっとも、このテレビは食堂利用者が自由にチャンネルを変えられる設定となっていた。そのため、同じ時間帯に他の利用者が別番組を視ている時は遠慮せざるを得ない。特に『笑っていいとも』と競合することがあり、このこともあって『笑っていいとも』は私の最も嫌いな番組の1つになった(タモリさんは嫌いではないので『ブラタモリ』はずっと視ている)。 TVアニメ版の『銀河鉄道999』は、努力を積み重ねて目標を達成するという展開ではなく、鉄郎がメーテルとともにいろいろな星を訪れていろいろな人たちと関わり少しずつ成長していく過程を描いたものと言える。なので、目的地到着までにどれだけ多くのエピソードが挿入されても飽きることはない。 いろいろな星を訪れるというのはTVドラマ版の『宇宙大作戦』と同様であるが、『銀河鉄道999』には異様な形の宇宙人は一人も出てこないところが興味深い(車掌さんも、生身の人間と機械人間の中間のような存在であって、人間以外の宇宙生物というわけではない)。 『銀河鉄道999』の登場人物と言えばやはりメーテルであるが、鉄郎とメーテルの関係をどう捉えるのかは、考えれば考えるほど分からないところがある。TVアニメ版では鉄郎は10歳であると設定されているので、鉄郎がメーテルに恋愛感情をいだくことは考えにくい。では100%母親代わりなのかというと、そうでもなさそうなところもある。このあたり、映画『A.I.』のデイビットとブルーフェアリーとの関係、あるいはピノッキオに出てくる仙女さまとは異なっている。もっともリンク先にも述べたように、男の子は思春期を迎える一歩手前のあたりで、崇高優美で包容力の豊かな年上の女性に憧れる可能性がある。おそらくそれは、反抗期を迎えることで母親に甘えたいという気持ちがつぶされていくいっぽう、同年代の女の子はまだまだ幼稚すぎて恋愛対象にならないという狭間の中で一時的に生まれる特殊な感情のようなものかもしれない。もっともそれが強くなりすぎて、生身の女性と付き合うよりもメーテルのような女性に守ってもらいたいというような気持ちが固定すると「メーテル症候群」あるいは「メーテルコンプレックス」というような状態に陥ってしまうかもしれない。 なお、銀河鉄道999のモニュメントについては、こちらに写真あり。第一話はこちらから視聴可能。そのほか、 【ゆっくり解説】実は〇〇だった!?ロマンティックすぎる銀河鉄道999についてゆっくり解説! という参考記事もある。 |