じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 3月25日から半田山植物園で夜桜ライトアップが行われるという。新型コロナ対策のため2020年〜2022年は確か中止になったはずなので、2019年以来4年ぶりということになる。
 ライトアップに使われる提灯は、遠くからは1本の電線に直列に繋いでぶら下がっているように見えるが、直列つなぎでは電球が1個でも断線すると電気が流れなくなってしまうはず。
 設置工事中にそのからくりを観察してみたところ、2本の電線から並列で繋いでいることが確認できた。

2023年3月21日(火)



【小さな話題】2022年度の将棋界

 3月19日、第48期棋王戦五番勝負の第4局が行われ、挑戦者の藤井聡太竜王が渡辺明棋王に勝ち、対戦成績3勝1敗で初の棋王を獲得した。これにより藤井聡太竜王は、羽生善治九段以来、史上2人目の6冠同時保持者となった。
 同じ日には、NHK杯テレビ将棋トーナメント決勝戦の放送があり、こちらも藤井聡太竜王が勝利。銀河戦、将棋日本シリーズ、朝日杯将棋オープン戦に続く優勝となり【←NHK杯決勝戦はだいぶ前に収録されていたようだが】、全棋士あるいは上位棋士参加の一般棋戦4つをすべて制覇。史上初の年度内グランドスラムを達成した。

 2022年度の対局は、以上をもってほぼ終了。4月からは渡辺明名人と挑戦者の藤井聡太竜王による名人戦が開始されることになる。

 藤井聡太竜王(六冠)の強さはこちらで紹介されている通りであり、私のようなヘボ将棋の素人の口から改めて語ることはないが、藤井聡太竜王の魅力は決して「グランドスラム」、「最年少」、「勝率」、「連勝」、「タイトル制覇」といった数字だけで表されるものではないように思う。一局一局の棋譜の中に、他のプロ棋士でも思いつかないような絶妙手が含まれており、それらを列挙することこそが強さを称えたことになるのではないかと思う。

 例えば、3月19日のNHK杯決勝で言えば、100手目で藤井聡太竜王が8七の「と」を7七に動かすという好手があった。これは対戦者の佐々木勇気八段が予想していない手であったという。また終盤の108手目、藤井聡太竜王は、解説の木村九段が推奨した「攻めと受けの両方にきく7七角」ではなく、5八銀という15手詰めの手順に入った。これらの手の素晴らしさは素人の私でも分かる。このことに限らないが、藤井聡太竜王の強さの魅力を引き出すためには、対戦相手も相当レベルまで強くなってもらわないと困る。対戦相手のミスにより連勝しても観ている側は面白くない。藤井聡太竜王の芸術的な棋譜というのは、あくまで対戦者との共同作業によって創られるものである。

 さて、ここからは、備忘録代わりに2022年に将棋界で起こった珍事の中で私の知り得たものをいくつか記しておく。

 まず、上にも挙げたNHK杯テレビ将棋トーナメントであるが、この対局は事前に収録されているため、稀に結果がネタバレになる場合がある。よくあるのは、対局者が連勝記録やキリ番を達成したような場合で、これは放送日以前に公表されることで推測できてしまう。これ以外には、関係者がうっかり結果を漏らしてしまった場合など。なお、YouTubeの某動画で初めて気づいたことだが、NHK杯では先手と後手の座る位置が決まっているため、予告編が流された時点でどちらが先手であるのかは分かってしまう。今回の決勝戦では、藤井聡太竜王が後手であることは画像から確定していた。

 次に、2022年度中の最大の珍事として挙げておきたいのは、千田翔太七段の「1手で反則負け」である。2022年11月22日に指された第81期順位戦B級1組・近藤誠也戦で起こったハプニングであり、後手番の千田が先手番と勘違いし、先に8四歩を指した為反則負けとなった。対局開始前に後手番であることが告げられていたにもかかわらず先に指してしまったということで、思い込みの恐ろしさが感じられる。
 このほか、対局場を間違えて不戦敗になるというハプニングはたまに起こっているようだ。最近では、将棋の現役最年少棋士、藤本渚四段(17)が6日、神谷広志八段(61)との第36期竜王戦6組ランキング戦で対局会場を勘違いして、不戦敗というハプニングがあった。

 新型コロナ対策としてのマスク着用関連でもハプニングがあった。よく知られているのは、2022年10月28日、第81期順位戦A級対永瀬拓矢王座戦にて、長時間にわたるマスクの不着用により反則負けとなった事例。ウィキペディアによれば、この反則は日本将棋連盟が同年1月26日に制定した臨時対局規定によるもので、着用違反による反則負けの適用事例は佐藤が初めてだった。佐藤は日本将棋連盟に不服申立書を提出したが、2023年1月13日に却下された。
 このほか、鼻がマスクで覆われていないため正しいマスクの着用を本人に求めたがこれを拒否したことで反則となった日浦市郎八段の例がある。日浦市郎八段は自分の信念で鼻出しマスクを貫いており、これに対して日本将棋連盟は、円滑な対局運営に支障が生じていることから、懲戒処分等の厳正な措置を講じるとした。 2月13日、日本将棋連盟は対局停止3ヵ月の懲戒処分とすると発表した(同日から5月12日まで)。

 残念なニュースとしては、元将棋棋士の橋本崇載元八段が、2023年1月17日、元妻を中傷する内容をツイッターに投稿したとして、名誉毀損の疑いで逮捕されたという事件があった。もっとも、橋本・元八段は2022年11月1日、日本将棋連盟に退会届を提出し、同日中に受理されているため、将棋界の出来事にこの事件を含めることは妥当でないかもしれない。時たま変わったことをする人ではあったが、まだまだA級棋士レベルの強さを持ち続けていただけに残念な状況となっている。

 最後に、囲碁の話題を少しだけ。今年度の最大の注目は仲邑菫三段の女流棋聖獲得であろう。いっぽう、「囲碁界史上初の2度の七冠独占及び年間グランドスラム(その年の七大タイトルをすべて独占)達成。七大タイトル獲得数歴代1位、三大タイトル獲得数歴代2位」として知られる 井山裕太本因坊・王座・碁聖は、タイトルの一部を奪われており、来年度の復活が期待されるところだ。
 私自身は、NHK杯の将棋トーナメントのほうは毎回視ているが、囲碁トーナメントは滅多に観戦したことがない。素人ということもあって、私には囲碁の魅力がイマイチ分からないところがある。例えば今年度のNHK杯の決勝は、318手 白番 関航太郎天元の半目勝ちになったというが、「半目勝ち」というのは、盤面では黒のほうが6目多かったが6目半のコミが課されているために白番の勝ちになったという意味かと思う。私が子どもの頃は囲碁のコミは「5目半」となっており旧ルールでは黒番の勝ちとなっていたはずで、ルールの適用の違いで勝敗が異なってしまうというところがしっくりこない。将棋であれば、とにかく王を詰ませれば勝ちであって、投了場面では鮮やかな勝ちが明白となっている【←稀に、何らかの事情で早い段階で投了したり、先日手や入玉で指し直しとなる場合もあるが】。