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10泊11日という長期間の帰省中にベランダの鉢物が開花していたが、そのうちアマリリスの仲間の『ヒッペアストラム・レティキュラータム』が鉢を運んでいるうちに花茎が大きく揺れてポッキリ折れてしまった。リンク先の写真では2輪開花、2輪は蕾となっていたが、花瓶に挿したところ4輪すべてが開花。花茎が折れたことで球根自体への負荷が減った可能性もあり、来年以降のことを考えるとかえって良かったのかもしれない。 |
【連載】ヒューマニエンス『免疫』(2)ワクチン接種で形成される抗体の「予防的」変異 昨日に続いて、2023年1月10日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、 ●“免疫” 変異ウイルスを迎え撃て のメモと感想。 自然免疫と獲得免疫とワクチンの効用の話題に関連して、人類最初のワクチンとして天然痘が取り上げられた。放送では言及されたなかったが、ジェンナーが開発したワクチンは実は牛痘ではなく馬痘であったというトリビアがある。以下、該当部分を引用させていただく。 1930年代以降の研究で種痘に用いられているウイルスはワクチニアウイルスというウイルスであり天然痘ウイルスとも牛痘ウイルスとも違うことが判明しワクチニアウイルスの由来は一体何か様々な研究がなされてきた。この中で牛痘ウイルスが継代されていく間に変異しワクチニアウイルスとなったと考えられていた時期もあったが、2013年モンゴルで採取された馬痘ウイルスのゲノム解析をした結果、種痘に用いられているワクチニアウイルスと馬痘ウイルスが99.7%同一のゲノムであることが判明しワクチニアウイルスとは馬痘ウイルスもしくはその近縁のウイルスである事がわかった。つまりジェンナーの種痘は牛痘ウイルスではなく馬痘ウイルスがたまたま牛に感染したものを種痘として利用したものであり種痘には一度も牛痘ウイルスは使用されていなかったことになる。 さて、これまで、天然痘、はしか、ジフテリア、風疹、破傷風、日本脳炎、ポリオなど様々なワクチンが開発されてきたが、新型コロナウイルスは変異が起こりやすいために対応が難しいと考えられてきた。インフルエンザウイルスの変異は100年間に3〜4回であるのに対して、新型コロナの場合は2019年に武漢で見つかって以来、α、β、γ、δ、そしてοというように3年半で5回も変異を起こしている。 しかしスタジオゲストの濱崎洋子さんのグループが、新型コロナに感染していないことを確認したワクチン接種者200人の血液を分析したところ、抗体に予想外の変化が起きていることが分かったという。ワクチンを3回接種すると、オミクロン株にも対応するような抗体ができていたというのである。2021年4月と5月に接種されたワクチンは武漢で発生した株をもとに作られたものであり、2021年に発生したデルタ株には対応していなかったが、2回目接種者の抗体を調べると、武漢株とデルタ株の両方に対応する抗体ができていた。さらにごく僅かだが、この年の11月に発生するオミクロン株に対応する抗体もできていたという。 濱崎洋子さんによれば、ウイルスは変異するが、抗体のスパイクにくっつく形を決める遺伝子のほうもちょっとずつ変異し、あたかも将来のウイルスの変異を予測しているかのように変化したという。但し、ウイルスがどのように変異するのかを予測していた訳ではなく、確率論的に適当に突然変異して準備し、的中したウイルスが発生した時にそれに対応する抗体を大量に作り出すような仕組みになっていたという。また変異は元の株にある程度近い範囲をカバーしているだけなので、今後のウイルスの変異にすべて対応できるわけではない。以上から、
ここまでのところでいったん私の感想・考察を述べさせていただくが、濱崎洋子さんの「抗体自体が変異し、あたかもウイルス川の変異を予測していたかのように準備する」という御研究はまことに興味深い。また現実問題として、従来株対応ワクチンを接種しただけでも新たな変異ワクチンに対して一定の効果があるというのは、すでに5回もワクチンを接種した私のような者にとっては大いに元気づけられる情報であった。 もっとも素人目に考えると、「新型コロナに感染していないことを確認したワクチン接種者200人」といっても、日常生活の中でさまざまな変異ウイルスに晒されており、本人が自覚しない程度の軽い症状もしくは無症状の中で変異ウイルスに感染し、そのウイルスに対応した抗体が作られていた可能性もあるのではないかという気がする。また、デルタ株の発生が2021年3月、オミクロン株の発生が2021年11月といっても、これらは人々の間ですでに流行が始まった後で確認された時期であって、デルタ株第一号やオミクロン株第一号はもっと早かった可能性がある。というか、デルタやオミクロン以外にも小規模なさまざまな変異が繰り返されており、その中で結果として人間に感染しやすいタイプだけが流行したと考えることもできる。なので、特別に隔離でもされていない限り、人々は日常生活の中でさまざまな変異株に晒されており、結果としてそれらに対応した抗体を作っているという可能性もあるような気がする。 このことに関連して、無症状の感染でも抗体がつくられるのかどうかBingに尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。 新型コロナウイルスに感染したものの無症状で終わった人たちでも、抗体は作られるとされています1。ただし、軽症・無症状だった人のうち約2割は1年後、現在の感染の約9割を占める英国株への感染を防ぐために十分な量の「中和抗体」を保有していなかったとする研究結果もあります1。また、感染から半年後の血液を分析した結果、無症状や軽症者は97%、中等症や重症者は100%、全体にすると98%の人が、体内に中和抗体が持続していることが報告されています2。 いずれにせよ「新型コロナに感染していないことを確認したワクチン接種者200人」という場合の「新型コロナに感染していないこと」をどうやって確認するのか、イマイチ分からないところがあった。ワクチン接種で形成される抗体と、実際には感染したものの無症状に終わった人の抗体を区別できないと、今回紹介されたデータだけからは抗体側の「予防的な変異」は実証できないように思われる。 あと、抗体自体が変異するとしたら確かに新たな変異ウイルスに予防的に対応することはできるが、万が一にも人間の生命活動を脅かすような抗体が作られてしまったとしたら、免疫系の暴走で自爆状態を招くことになる。こういう可能性が絶対無いと言えるのか、一抹の不安は残るが、また私個人に限って言えば、古希を迎えてあと15年〜20年以内に死ぬことがほぼ確実であるゆえ、どっちでもいいという気もする。若い人たちの健康、あるいは妊娠に悪影響を及ぼすような変異があっては絶対に困るけれど。 次回に続く。 |