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【小さな話題】映画『地下鉄に乗って』(メトロにのって)の謎 8月1日にNHK-BSPで放送された、 ●『地下鉄に乗って』(メトロにのって) の感想。 NHK-BSPで放送されている映画は、タイトルや番組概要を見た上で録画している。今回は私好みのタイムスリップものということで録画予約していたが、録画再生ではなく、放送時間にも直接視聴し、最後まで視てしまった。 東京・世田谷で生まれ育った私は、子どもの頃から銀座線に乗ったことがあった。ウィキペディアによれば『銀座線』という路線名称は1953年に決定されたとのことだが、当時の東京の地下鉄はこの路線一本であったため、単に「地下鉄に乗る」と言えば銀座線に乗ることを意味していた。その後、1959年までに丸ノ内線の池袋―新宿間が開通。1964年9月18日には、映画にも出てきた丸ノ内線の新高円寺 - 新中野間が開通した。 地下鉄の車窓からの景色は一部区間を除いて真っ暗であるが、中学生の頃は一番前の運転室の右後ろに立って前方の真っ暗な景色を眺めることを楽しんでいた時期があった。銀座線の場合、景色は真っ暗とは言ってもかなりの高低差があり、また次の停車駅が暗闇の中に輝いていたりする。こういう景色から、ヴェルヌの『地底探検』の世界を連想したこともあった。地下鉄にはそうした地下世界の神秘があり、どこかの駅から地上に上がった瞬間に突然タイムスリップしていた、ということは十分ありそうにも思える。 本題に戻るが、主人公を演じた堤真一【以下敬称略】の映画は、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどいくつか観たことがあるが、そのことでイメージがかぶることは無かった。ただ、少し前に、NHK-BSで、アーカイブとして再放送された、
失顔症の傾向のある私にとっては、登場人物を識別するのはなかなか難しいところがある。今回の映画には終戦直後の闇市で暗躍する『アムール』という人物が出てくるが、途中までそれが小沢佐吉と同一人物であることに気づかなかった。 私がよく分からなかったのは、真次の兄の小沢昭一が亡くなった日の夜、真次とその愛人の軽部みち子が、大雨の中を彷徨い、お時の経営するバー『Amour』に入る場面である。そこで2人はオムライスをごちそうになり、しばらくすると長男を失った小沢佐吉が入ってくる。そこで、お時のお腹の中の子が軽部みち子であったこと、また軽部みち子の父親は小沢佐吉であり、真次と軽部みち子は実は異母きょうだいであったことが判明するという設定になっていた。 小沢佐吉が入ってくる前の時点で、軽部みち子は真次に、お時について「強い人よ。母みたいにはなれないって反発していた。自分を捨てた人を思い続けて、ママに死ぬまで会おうとしなかった。でもね、笑っちゃうんだけど、私そっくりなの。母のようにしか生きられなくって。」と語っていたが、鑑賞力に乏しい私には、この部分がどういう意味なのかが理解できなかった。なお、オムライスについては、もっと前のシーンで、真次と軽部みち子が外食した際に、みち子が、母の作ったオムライスしか食べたことが無いこと、ウチのはケチャップをいくらつけても良かったことなどが語られている。私の聞き間違いかもしれないが、みち子が語っていた「母」、「ママ」、「私」の関係がよく分からなかった。 あと、この映画では軽部みち子の愛人であり不倫関係にあるという設定になっていたが、単に「真次は独身であり軽部みち子とは恋愛関係にあった」としても本質は変わらないように思う。ま、このあたりは、不倫は良くないとする私の道徳観が影響しているのかもしれないが。 |