じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 台風7号が接近している。この台風の進路は8月10日夜には静岡県・御前崎近辺に進むと予想されていたが【画像上段】、8月13日18時には潮岬から神戸方面に進むという予想に修正された。さらに8月14日朝の時点では、潮岬から大阪市、丹後半島に進むというやや東寄りの予想に修正された【画像下段】。
 スパコンの活用で台風の進路予想は以前より格段に向上しているが、まだまだ変動要因がつかみ切れていないようだ。速さが10km/hということなので予想進路が修正されても防災対策のための時間的余裕があるが、もっとスピードが速い場合は、修正に振り回されることになるだろう。もっとも、スピードが速い場合のほうが変動要因の影響が少なく正確に進路予想ができるとは思われるが。

2023年8月14日(月)




【連載】ヒューマニエンス「整理整頓」(1)研究室の整理整頓

 8月7日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、

“整理整頓” それはヒトの本能なのか

についてのメモと感想。

 まず全体として、放送自体が雑多な内容であって整理整頓できていないという印象を受けた。原因として考えるられるのは、
  • 他の回と異なり、『整理整頓』を専門に研究している人が登場していない。別の分野の専門家がバラバラの視点から関係のありそうな話題を紹介したり、ご自身の「妄想」【←ヒューマニエンスでよく使われる言葉で、まだ確証が得られていないような可能性について専門家が自由に夢などを語る時に使われる】を語っていた。
  • そもそも何をもって整理整頓とするのか? が曖昧。
といったところだろうか。

 放送ではまずトークパートナーの稲垣えみ子さん(元朝日新聞記者)が住んでいるワンルームマンションの室内の様子が紹介された。稲垣えみ子さんのお名前は、『東洋経済』連載の『買わない生活』を通じてある程度存じ上げているが、じっさいにご自宅の内部を拝見したのは初めてであった。

 いっぽう、この回のスタジオ解説者は坂上雅道さん(玉川大学脳科学研究所)であった。織田さんから「呼んどいてなんですけど、整理整頓という研究分野はもちろんないわけですよね」という問いかけてに対して、「たぶん【無い】。最初は何で私を呼ぶの?と思いましたが、話しているうちになるほどこれは重要かもしれないと思ってくるようになりました。」と答えておられた。

 続いてヒューマニエンスでもお馴染みの3人の研究者の研究室を紹介。番組スタッフが指定した本をすぐに見つけ出せるかという「実験」が行われた。
  • 古生物学者・松岡廣繁さん(京都大学):室内には化石や骨など各種標本類や分析装置あり。スタッフが指定した『鈴木尚骨格人類学論文集』を14秒で取り出せた。「自分にとって心地よい配置
  • 考古学者・松木武彦さん(国立歴史民俗博物館):いっけん、本や書類が雑多に積み重ねられているように見えるが「パッと見ぐちゃぐちゃに見えると思うけど、これは何がどこにあるのか私は完全に把握してます」スタッフが指定した『儀礼と習俗の考古学』を14秒で見つけ出した。「部屋は私の脳の反映
  • 分子生物学者・近藤滋さん(大阪大学):モノが少なくすっきりとしている。本は殆ど無い。スタッフが指定したハリソンの論文抜き刷りは見つけられなかったが、その論文と同じ内容が書かれた書籍が別にあった。「必要な物だけ身近に
 放送ではさらに、『整理』と『整頓』に違いについて広辞苑によるおさらいがあった。
  • 整理:@乱れた状態にあるものをととのえ秩序正しくすること。A不必要なものを取り除くこと。など
  • 整頓:よく整った状態にすること。きちんとかたづけること。
重要なポイントは、『整頓』には捨てるという意味は含まれていない点であった。




 ここでいったん私の感想・考察を述べるが、私の現役時代の研究室は床から天井まで設置された書棚や収納庫が多数配置しており、カニの横歩きをしなければ奥の「居場所」までたどり着けないほどであった。
 私の場合、学術論文のコピーは発行年ごとに2つ穴バインダーを用いて、第一著者のABC順に綴じていた。但し、著者名があまり重要でない特定テーマの記事などは別ファイルにしていた。また会議の議事録とか各種保存資料なども年度別に分類していた。
 このやり方で1つ困ったのは、ある時点で、文献や資料のサイズがB5からA4に変更されたことである。これにより、バインダーをA4用に取り替える必要が出てきた。それまで廃棄予定の木製本棚を貰ってきたりしていたが、この場合、各棚の高さはB5判で収まるようになっていたためA4バインダーは収納できなくなってしまった。
 その後パソコンが高性能化し、ペーパーレスの時代がやってきた。文献や資料はたいがいPDFで保存できるようになったため、収納スペースは不要になってきた。
 さらに、オンラインでいつでも文献閲覧ができるようになると、いちいちPDFファイルとして保存しておく意味が無くなってきた。

 上掲の「研究室紹介」のところでは、一部の研究者はまだまだ印刷物を必要としているように見えたが、私の場合、定年退職後の一定期間(特命教授委嘱期間)のあいだに、それまで紙媒体で保存していた文献資料はすべてPDFファイルに置き換え、また書籍類は図書館の備品としてすべて返却したため、自宅の書斎には殆ど書籍は残らなくなった。
 もっとも、隠居人生活に入ると、せっかくPDF化していた文献類は殆ど目を通さなくなった。パソコンのトラブルでこれらの資料が一瞬のうちに消去されてしまったとしても、老後の生活には何の不都合も起こらないように思える。

 次回に続く。