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【連載】ヒューマニエンス「整理整頓」(1)研究室の整理整頓 8月7日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、 ●“整理整頓” それはヒトの本能なのか についてのメモと感想。 まず全体として、放送自体が雑多な内容であって整理整頓できていないという印象を受けた。原因として考えるられるのは、
放送ではまずトークパートナーの稲垣えみ子さん(元朝日新聞記者)が住んでいるワンルームマンションの室内の様子が紹介された。稲垣えみ子さんのお名前は、『東洋経済』連載の『買わない生活』を通じてある程度存じ上げているが、じっさいにご自宅の内部を拝見したのは初めてであった。 いっぽう、この回のスタジオ解説者は坂上雅道さん(玉川大学脳科学研究所)であった。織田さんから「呼んどいてなんですけど、整理整頓という研究分野はもちろんないわけですよね」という問いかけてに対して、「たぶん【無い】。最初は何で私を呼ぶの?と思いましたが、話しているうちになるほどこれは重要かもしれないと思ってくるようになりました。」と答えておられた。 続いてヒューマニエンスでもお馴染みの3人の研究者の研究室を紹介。番組スタッフが指定した本をすぐに見つけ出せるかという「実験」が行われた。
ここでいったん私の感想・考察を述べるが、私の現役時代の研究室は床から天井まで設置された書棚や収納庫が多数配置しており、カニの横歩きをしなければ奥の「居場所」までたどり着けないほどであった。 私の場合、学術論文のコピーは発行年ごとに2つ穴バインダーを用いて、第一著者のABC順に綴じていた。但し、著者名があまり重要でない特定テーマの記事などは別ファイルにしていた。また会議の議事録とか各種保存資料なども年度別に分類していた。 このやり方で1つ困ったのは、ある時点で、文献や資料のサイズがB5からA4に変更されたことである。これにより、バインダーをA4用に取り替える必要が出てきた。それまで廃棄予定の木製本棚を貰ってきたりしていたが、この場合、各棚の高さはB5判で収まるようになっていたためA4バインダーは収納できなくなってしまった。 その後パソコンが高性能化し、ペーパーレスの時代がやってきた。文献や資料はたいがいPDFで保存できるようになったため、収納スペースは不要になってきた。 さらに、オンラインでいつでも文献閲覧ができるようになると、いちいちPDFファイルとして保存しておく意味が無くなってきた。 上掲の「研究室紹介」のところでは、一部の研究者はまだまだ印刷物を必要としているように見えたが、私の場合、定年退職後の一定期間(特命教授委嘱期間)のあいだに、それまで紙媒体で保存していた文献資料はすべてPDFファイルに置き換え、また書籍類は図書館の備品としてすべて返却したため、自宅の書斎には殆ど書籍は残らなくなった。 もっとも、隠居人生活に入ると、せっかくPDF化していた文献類は殆ど目を通さなくなった。パソコンのトラブルでこれらの資料が一瞬のうちに消去されてしまったとしても、老後の生活には何の不都合も起こらないように思える。 次回に続く。 |