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龍ノ口グリーンシャワーの森で見かけたカマキリ。いろいろな角度から撮影したが、偽瞳孔は常にこちらを向いているように見える。もっともじっさいには視線を向けているわけではないという。 カマキリには、チョウセンカマキリ、オオカマキリ、ハラビロカマキリなどがあるが、写真の個体はオオカマキリの特徴に似ているように見えた。なおカマキリの足元にある白い文字は『山頂』。 |
【小さな話題】香川県にはなぜミニ富士が多いのか?(1)讃岐七富士、爺神山の惨状と採石の是非 8月14日にNHK-BSPで放送された、 ●ジオ・ジャパン 絶景100の旅 香川 讃岐富士 についてのメモと感想。 放送でも紹介されていたように、香川県の讃岐平野には富士山そっくりの形をした『ミニ富士』がおよそ30も点在しているという。 この『ミニ富士』が多いという特徴は、私にとっては、初めて四国を訪れた1971年(大学1年)の時に強く印象づけられている。当時はまだ瀬戸大橋は存在せず、京都からはまず夜行列車の乗り継ぎで宇野へ。そこで宇高連絡船に乗り換えて高松に向かった。高松に着いた時にはすでに外が明るくなっており、車窓からは『ミニ富士』がいっぱい見えていた。但し、当時の印象は「富士山の形の山が多い」ではなく、「丸っこい山が多い」というものであった。 その後、岡山に住むようになってからは、瀬戸大橋を通って何度も四国方面に旅行をしているが、景色に慣れてしまったせいか、「讃岐平野はミニ富士が多い特異な景観である」という印象は薄れてしまった。それでも、瀬戸大橋を渡りきった時に間近に見える飯野山の山容は、何度見ても素晴らしい形をしていると思う。 ちなみに『ミニ富士』は地元では『おむすび山』とも呼ばれているという。約30の山のうち、
さて、これらの『ミニ富士』はなぜあのような形をしているのだろうか? 放送ではまず、これらの山が本家・富士山と同じように、頂上からの噴出物が積もった成層火山であるのかどうか、じっさいに飯野山に登って確かめるシーンが紹介された。 飯野山の山麓には10〜20cmの安山岩がゴロゴロしている場所があった。このことからこの山の誕生がが火山活動に関係していることが示唆された。しかし山頂に辿り着いてみたところ、火口の形跡は全く見られず、火山特有の硫黄の香りも全く無かった。上空からの映像でも火口のような凹みは確認できなかった。 飯野山をさらに詳しく調査すると、山腹5合目付近の森の中には高さ30m近くの大きな安山岩の固まりがあり、柱状節理になっていることが確認できた。柱状節理は地下からマグマが上がってきた時に周りの冷たい岩盤によって冷やされて収縮することで形成される。 放送ではさらに、上掲の讃岐七富士の1つ、爺神山(とかみやま、標高214m、三豊市)で調査が行われた。この山は元々は丸っこい富士山の形をしていたが、昭和30年代に採石場になり山が削られた。許可を得た上で入山したところ、中腹に花崗岩と安山岩の地層が接した状態で露出している場所があった。このうち花崗岩は硬い岩ではあるが地上に露出すると風化して崩れやすくなる性質がある。さらに登ると、採石によって頂上付近が削られた高さ100mを超える岩壁がそそり立っていた。その岩壁は安山岩の柱状節理からできており、この山の頂上付近が安山岩の地層で成り立っていることが確認できた。 ここでいったん感想を述べさせていただくが、2003年の情報によれば、爺神山は採石により瀕死の状態にあり、ふもとを一周するウォーキングコースは整備されているが、山頂(採石後のいちばん高いところ)に登る道は存在せず、危険箇所もあったと記されていた。なお、この方のWebサイトからは全国の『富士』のリストがあり、私の自宅マンションからもよく見えている『備前富士(芥子山)も含まれていた。 このほかこちらには2020年10月7日の山行記、さらにこちらにはなっなんと幼稚園児が集団で登ったという記録が紹介されており、現在ではかなり登りやすくなっているように推測された。単なる登山コースだけでなく、今後は柱状節理の大岩壁も見学できるようにコースを整備してもらいたいものだ。 それにしても、美しい山を採石で切り崩してしまうという行為は許しがたいように思う。これは瀬戸内海の島についても言える。もちろん、さまざまな災害対策やビルの建設などで砕石が必要であることは分かるが、長年親しまれてきた里山は、いくらお金で買い取ったとしても勝手に景観破壊をしてよいというものではない。ま、山の形が変わるほどの採石と言えば、武甲山や伊吹山などもあり、すべてを採石禁止にしてしまうとセメントの調達ができなくなる恐れもあるので、難しいところはあるが、可能な限り、採石は平坦な土地の露天掘りにとどめてもらいたいものだ。 次回に続く。 |